ココロノトビラ・デトックス～うつ病と生きる～

2005年10月某日	忘れもしない、月曜日の朝。通勤のため地下鉄の駅まで歩いている時から様子はいつもと違いました。改札からホームに降り地下鉄が来ました。「これに乗らなきゃ」と思うけど、足が前に出ない。と同時に息が苦しくなり、突然泣き出してしまいました。「会社に行けない」・・・これが私のうつの始まりでした。毎日「何でこんな風になってしまったの？」とか「会社や親に申し訳ない」、「もっと自分をいたわってあげるべきだった」、「死にたい。死んだ方がマシ？」なんて自分を責めたり後悔したりして泣いてばかりの辛い日々でした。
2005年11月中旬	会社の上司がわざわざ自宅へ訪問して下さって面談。初めは「会いたくない。もう会社に関わりたくない。」と思いましたが、今のままじゃ会社に迷惑をかけ続けると思い上司と会いました。その頃「病院へ行く」という考えは全くなく、ただ毎日を家で過ごしていましたが、うつ病に理解のある上司が病院へ行って適切な治療を受ける事を進めて下さいました。会社は有休を消化して、それ以後は休養という形を取っていただきました。
2005年11月下旬	病院へ行く事を決意。弱った心の私には、これにも相当の体力を使いました。「・・・でも病院って何科に行けばいいの？第一、地下鉄に乗れないし」と思いました。ネットで調べると、たまたま近所の病院に予約制の心療内科があり、そこへ通うことにしました。医師の診断：「抑うつ状態ですね。しばらくは仕事を休んで下さい。お薬を何種類か出しますね。」そう聞いた時、正直ショックでした。まさか自分がうつ病になるなんて・・・治るのかな？不安との戦いが始まりました。
2005年12月	気付けば年末。症状はいっこうに良くならず。でも年が明ければ薬も飲んでいるし、新しい気持ちになれるかも！と思っていました。会社は待っていてくれているのなら、治してまた勤務しようと思っていました。
2006年1月上旬	予想に反して年が明けても気分や体調は良くなりませんでした。会社に籍を置くこと自体が負担になっているのではと思いました。実際上司からも「休養扱いにできるのは2月末まで」と言われ、退職を決意。すごく「気」を使いましたが、一歩前進した気がしました。
2006年1月中旬	退職手続きのためうつになって以来初めて出社しました。と言っても手続きだけのための出社でした。まず第一関門は、地下鉄。一人で行きましたが不安でいっぱいになり気持ち悪くなりました。第二関門、会社までのエレベーター。ビルの7階にあったのですが、エレベーターホールに行くまでに時間がかかりました。たまたま会社の人に会ったので、なんでもない振りして上司の所まで連れて行ってもらいました。第三関門、上司の反応。意外と普通に接して下さいました。うつ病の事もお話して退職を認めてくださいました。訪問終了・・・一気に具合が悪くなりました。それはそうですよね、今まで怖くて行けなかった会社に勇気を出して言って来たんですから。今考えても、あの時の自分は凄い頑張ったと思う。心配していた母が仕事帰りに私の会社の下で待っていてくれました。これには今考えても泣きそうな位嬉しかった。頑張ったご褒美にケーキを食べさせてくれた。この日以来、「会社」というしがらみから解放され少し楽になりました。
2006年2月	会社を辞めるといろいろな手続きが必要になる。厚生年金から国民年金へ、社保から国保へ、失業保険の申請などやる事が満載。・・・正直面倒だ。普通の精神状態で退職した事もあったが、その時なんでもなかった事がとても面倒に感じた。それは何に対してもそうだった。（うつ病の特徴らしい）私の退職は「自己都合」扱い。だから失業保険をもらえるようになるには90日置かれる。でも病気など就業できない理由がある時、医師の診断書があれば90日置かれずに済むと知った。実際退職にあたって金銭面の不安も退職したくない理由の1つだったのに、それならもっと早く辞めとけば自分も楽になれたし、会社に迷惑かけずに済んだのにと思った。病院で診断書を貰いに行った。医師からは「退職したのなら薬もやめていい」と言われ通院も終わった。
2006年3月	会社を辞め、薬も止めたが新しい仕事に就く気にはまだなれなかった。ハローワークで「職業訓練生募集」のチラシを見つけた。スキルアップのための講習で失業保険受給者対象、受講中に失業保険が切れても講習が終わるまでは延長して受給できるし交通費全額支給、日当500円（人によって異なる場合もある）が出る！・・・おいしい。ＰＣスキルを磨くため行かないわけにはいかないと思った。社会復帰の足がかりになればという思いもあり応募した。
2006年4月	職業訓練を受けるためには、筆記試験と面接にクリアしなければならない。試験・・・中学卒業レベルの問題が出るとの事。数学と漢字ドリルを買い勉強した。試験日、さほど緊張もなくいい感じだった。でも久しぶりの「お受験」は疲れた。この頃、私は会社を辞めた事でうつも治ったと思っていた。数日後・・・見事合格！5月から訓練生になれる。嬉しかった。
2006年5月中旬	訓練校へ通い始めた。様々な年齢層、みんなからはやる気が感じられた。それは明らかに私とは違っていた。就職に対するやる気・・・私とは違う。場違いな所に来てしまった気がした。
2006年7月	訓練校生活は当初の予想に反して楽しかった。一度社会に出た後に「学べる」喜び、そして何よりも「親切丁寧」が会社ではありえない事。クラスメイトにも恵まれた。 7月末の卒業を前に周りで就職活動に励む人が増えた。焦りも感じ、周りの波に乗っかるように私も就職活動を始めた。動物健保の会社に応募。不安もあったがもう大丈夫という気持ちと、何より大好きな動物に関わる仕事なら続けられると思った。面接から数日後・・・一緒に働いてみませんか？とのお返事。7月24日一足先に訓練校を卒業して私は就職した。
2006年8月	まだ入社して半月。なのに体調が思わしくない。時々不安に襲われる。この感覚・・・前と一緒だ。半月しかたっていないのに、前職で経験していた職種に就いた事もあり、できない自分に苛立ちと焦りを感じていた。心が痛かった。
2006年9月下旬	大好きな北海道日本ハムファイターズがリーグ1位通過したのに気分は変わらず。病院へ通うことを決意した。今度は以前と違う病院へ。親戚の紹介で行ったその病院は小さいけど先生がとても親身になって話を聞いてくれた。再びうつ病と診断。薬も漢方薬を処方してもらう事になった。漢方薬は効き目が出るまでには時間がかかるらしい。飲み続ける事が大事だ。
2006年10月上旬	薬と先生が話を聞いてくれるおかげからか少し楽になった。が、仕事は無理だと思った。10月3日退職。私の仕事はコールセンターでお客様からの質問にお答えするというものだった。普通の精神状態ではない私はお客様に対して気を使ってあげられなくなっていた。それがたまらなく悔しく、社会人としては失格だと思った。退職は当然だと思った。
2006年10月以降	再び自分を責めるようになる。仕事が私にもたらしてくれたものは何か？とか、自分の何がいけないのか？、何に対しても申し訳ないと思う。毎日泣いた。眠れない。自分がこの世に存在する意味は？考えてもわからなくて、ただ生きてるだけなら死んだ方が楽になれるのかな？と思った。睡眠薬を飲んだ。でも死ねるわけがない。わかっていてやった小さな抵抗。こんな事いつまで続くのかという不安。何にもしたくなくて、抜け殻のようだった。でも何故か野球には行けた。人ごみが怖いと思う事も多くなっていたのが不安だったが・・・。
2007年1月	年が明けるとやはり気分が変わるもの。何かしたくなってきた。病院の先生にそろそろバイトでもしようかと・・・と相談したが「焦らない方がいい」の一言。うつ病は、①薬を正しく飲み続ける事②焦らない事が大事。それと③周りの理解もだ。その後私は③に悩まされるはめになる。
2007年2月	私は実家暮らし。夜になれば大抵両親がいる。この両親がイマイチうつ病を理解していない。これは親には迷惑かけたくないという私のわがままから、病院へ両親を同行させなかったせいもある。一見元気だから・・・うつ病のタチの悪い所である。だから何でも言ってくる。「仕事はまだしないの？」「寝てばかりいないで」これってうつ病患者にはタブーです。だって焦りはよくないんだから。逆に言えば理解してもらえないのなら、自分がもっとうつ病と向き合えばいい、わからない事調べればいいと思った。読みやすそうな本を読んだ。うつ病患者を持つ人の気持ちが少し理解できた。一歩前進した気がした。
2007年3月	今に至る。最近は調子がいい。体調も心も。春だからいろいろ始めたくなる。3月12日ブログ開設！もっとうつ病のこと知ってもらいたい、身近に感じて欲しい、そう思ったからだ。後から知ったが大安だった。なんだかめでたい！形は違うけど社会との繋がりがが持てた。ＤＨＣさんに感謝だ！
2007年4月9日	ＤＨＣブログランキングに初ランクイン☆ 初登場は17位でした！
2007年4月10日	ＤＨＣブログランキング、7位へ☆ ジャンプアップに驚く。