症例5)小脳橋角腫瘍 [2009年11月07日(土)]
■R.W.C牧師25歳、2人の子持ち
■臨床診断:小脳橋角腫瘍。
■以前の病歴:1955年3月、患者は電話で聞く声が、小さく聴こえるようになったのに気づいた。その数ヶ月前には口の中の左半分に痛みと酸っぱさを感じた。
子供頃から副鼻洞にトラブルがあり、1040年以来、前頭洞のトラブルが一層悪化。
1940年7月、盲腸炎・扁桃剔除(へんとうてきじょ)の手術を受けた。
いくつかのクリニックで精神分析的な治療を受け、首がこったり・背骨の下の方の痛みのために整骨治療を受けた。2つの症状は緊張の多い時には一層ひどくなるのだった。
1年位前に左の下眼瞼にチック症状が起き、「舌の左半分にチクチクする感じ」が起きた。話すのは普通に出来たが、後には口の下左半分に感覚がなくなった。時々目眩(めまい)を感じ、体のバランスをとりにくくなり、歩くと自然に右側に寄った。左耳に耳鳴りがし、左耳の聴力がなくなった。
その期間に左耳の聴力は、顔の反対側に起きた過敏さと一緒に向上した。
■ペンシルバニア大学病院脳外科部長のレポート
「1956年2月17日、私は貴方の患者R.W.C牧師を診た。35歳の既婚の白人で、パブディスト派の牧師である彼は、左耳の聴力が低下、顔の左半分に知覚異常があり、時々、歩行中によろめくのだった。
こういった全ての症状が1年位前から続いていた。ついでに云うと彼は、大学時代に強い神経衰弱になったこともあり、ひどく神経質で緊張の高い性格である。
検査で左顔面の顔面神経が少し弱く、左眼の角膜と顔の左半分の感覚が少し失われているのが判った。左耳の聴力がなくなっているのは、臨床的に非常に明白だった。神経検査さではバランスは正常だった。
この患者の治療では私たちは、左側の第5・7・8番神経を巻き込んだ病変に対して処置をした。もちろん炎症的な病変と小脳橋角腫瘍とでは鑑別診断が必要である。
私はX線検査を参考に、これでもし聴覚神経腫瘍の疑いがあるならば、翌月には患者を当病院に入院させ、脳波記録や前庭検査が必要だし、後頭下の開頭手術もと考えた」
追伸
今いったようなわけで私は、X線検査の結果を調べ聴覚神経腫瘍だと感じるにいたり、患者には3,4週間のうちに入院するように勧めた。だが患者は貴方と相談してみて、その結果としての自分の決断を私に伝える、と答えた。
■1956年3月8日のゲルソンクリニックでの初診時の状況およびその後
口の左端を上げられず、左軟口蓋と口蓋垂は右側に垂れ、歩行も困難で両目を閉じると左に回れなかった。
皮膚と腱の反射は基本的には正常だったが、両膝の反射は弱かった。顔・首・胴・の左半分の感覚は減退。しかし運動失調症や攣縮ということはなかった。
聴力図:左耳は問題なく、右耳は正常範囲内。
1956年の9月の終わりにふさぎの程度は減り、両目を閉じてもよく歩けた。疲れた時には体が不安定になるだけだった。口の左端も軟口蓋も正常な位置に戻っていた。
1957年5月、6ヶ月前から仕事をしていた。最初はパート・タイムだったが、後には家庭訪問以外の仕事は何でもしていた。
精神的には前よりも伸び伸びとして、以前よりも自信を持つようになっていた。
■1956年3月8日のX線検査レポート
頭蓋骨・髄軸・側面・基底のX線検査。はっきりとした骨の変化は認めず。ただし、ブルーメンバッハ斜台のあたりが、やや薄くなっていると言っておく必要がある。
■1956年7月23日のX線検査レポート
頭蓋骨側面検査。1956年3月9日と大体同じ状況。
■眼科医のレポート
視野 (1956年5月22日)
右眼:20/20−2
左眼:20/20−2
瞳孔不動症−右眼の瞳孔が左目より大きい。
角膜反射−右眼は明らかに正常
左眼については、私はどんな角膜反射も引き出せなかった−明らかに麻痺して
いる。
共役的な働きは、上下のある部分を見つめる時以外には正常。すべての共役的凝視において、細かい目の動きができる。ただ、右側の側面を見る場合に色々な眼の動きが多くなることに興味がある(これは小脳橋角腫瘍の場合にあり得るべきことである)。
内部の精密検査
瞳孔の拡大
右眼−外周は正常。細静脈やや充血。
左眼−鼻との今日ややハッキリせず。細静脈充血。
印象−小脳橋角腫瘍
視野(図面同封(1956年6月21日)
右眼:20/20
左眼:20/20
瞳孔は左右等しい。
瞳孔不動症−今日は認めず。
角膜反射−右眼、正常
左眼は角膜の感度減退。しかし、感度は明らかに改善された。上方の凝視に明
らかな障害、今日は認められず。最側方の凝視の際の眼振。眼振には客観的な
変化を認めず。眼底は正常で、また血管系は明らかに正常範囲内。
視野(図面同封(1956年11月21日)
軽度の結膜炎、最近の細菌感染による一時的なものと思われる。瞳孔左右等しい。
右眼:角膜反射正常
左眼:少し角膜反射低下、ただし眼はフルに動かせ眼筋とは関係なし。
内部(1957年1月25日)
正常。症状は減退。複視なし。瞳孔不動症も認めず。左眼の角膜販社やや減退。
内部正常。眼筋の異常は随伴・麻痺、共になし。
両眼の共役的動きに問題なし。
視野検査(対診法で視野の変化示さず)
視野(図面同封1957年3月29日)
右眼:20/20
左眼:20/20
瞳孔は左右等しく、外周正常。反応も共感性で直接的。
右眼−角膜反射正常。
左眼−角膜に、やや感応度減退が、多分あると認められる。共役的働きは充分。
最側方の凝視時における細かな間欠性の眼振が出て来た。乳頭・血管系・基底は全般的に正常。視野検査の結果、正常範囲内であることが判った。
視野(1957年5月17日)
正常。症状は減退した。
追伸
私が最初にこの患者を診た時には、乳頭ははっきりしていた。しかし私はその時、細静脈は異常に拡張していると考えた−今日ではその印象は受けない。そして私の考えでは、血管系は全て客観的に正常である。
視野(1957年8月1日)
右眼:20/20
左眼:20/20
最後に検診した5月17日の結果と同じである。血管系は肉眼的に観て正常である。視覚検査を行った。写しを同封。視野は最後の検診時に比べ、何かの変化があったとしても、それは少しよくなったということである。
■1957年12月のレポート
患者は正常な状態にあり、もう1年以上もフルタイムで働いている。
■臨床診断:小脳橋角腫瘍。
■以前の病歴:1955年3月、患者は電話で聞く声が、小さく聴こえるようになったのに気づいた。その数ヶ月前には口の中の左半分に痛みと酸っぱさを感じた。
子供頃から副鼻洞にトラブルがあり、1040年以来、前頭洞のトラブルが一層悪化。
1940年7月、盲腸炎・扁桃剔除(へんとうてきじょ)の手術を受けた。
いくつかのクリニックで精神分析的な治療を受け、首がこったり・背骨の下の方の痛みのために整骨治療を受けた。2つの症状は緊張の多い時には一層ひどくなるのだった。
1年位前に左の下眼瞼にチック症状が起き、「舌の左半分にチクチクする感じ」が起きた。話すのは普通に出来たが、後には口の下左半分に感覚がなくなった。時々目眩(めまい)を感じ、体のバランスをとりにくくなり、歩くと自然に右側に寄った。左耳に耳鳴りがし、左耳の聴力がなくなった。
その期間に左耳の聴力は、顔の反対側に起きた過敏さと一緒に向上した。
■ペンシルバニア大学病院脳外科部長のレポート
「1956年2月17日、私は貴方の患者R.W.C牧師を診た。35歳の既婚の白人で、パブディスト派の牧師である彼は、左耳の聴力が低下、顔の左半分に知覚異常があり、時々、歩行中によろめくのだった。
こういった全ての症状が1年位前から続いていた。ついでに云うと彼は、大学時代に強い神経衰弱になったこともあり、ひどく神経質で緊張の高い性格である。
検査で左顔面の顔面神経が少し弱く、左眼の角膜と顔の左半分の感覚が少し失われているのが判った。左耳の聴力がなくなっているのは、臨床的に非常に明白だった。神経検査さではバランスは正常だった。
この患者の治療では私たちは、左側の第5・7・8番神経を巻き込んだ病変に対して処置をした。もちろん炎症的な病変と小脳橋角腫瘍とでは鑑別診断が必要である。
私はX線検査を参考に、これでもし聴覚神経腫瘍の疑いがあるならば、翌月には患者を当病院に入院させ、脳波記録や前庭検査が必要だし、後頭下の開頭手術もと考えた」
追伸
今いったようなわけで私は、X線検査の結果を調べ聴覚神経腫瘍だと感じるにいたり、患者には3,4週間のうちに入院するように勧めた。だが患者は貴方と相談してみて、その結果としての自分の決断を私に伝える、と答えた。
■1956年3月8日のゲルソンクリニックでの初診時の状況およびその後
口の左端を上げられず、左軟口蓋と口蓋垂は右側に垂れ、歩行も困難で両目を閉じると左に回れなかった。
皮膚と腱の反射は基本的には正常だったが、両膝の反射は弱かった。顔・首・胴・の左半分の感覚は減退。しかし運動失調症や攣縮ということはなかった。
聴力図:左耳は問題なく、右耳は正常範囲内。
1956年の9月の終わりにふさぎの程度は減り、両目を閉じてもよく歩けた。疲れた時には体が不安定になるだけだった。口の左端も軟口蓋も正常な位置に戻っていた。
1957年5月、6ヶ月前から仕事をしていた。最初はパート・タイムだったが、後には家庭訪問以外の仕事は何でもしていた。
精神的には前よりも伸び伸びとして、以前よりも自信を持つようになっていた。
■1956年3月8日のX線検査レポート
頭蓋骨・髄軸・側面・基底のX線検査。はっきりとした骨の変化は認めず。ただし、ブルーメンバッハ斜台のあたりが、やや薄くなっていると言っておく必要がある。
■1956年7月23日のX線検査レポート
頭蓋骨側面検査。1956年3月9日と大体同じ状況。
■眼科医のレポート
視野 (1956年5月22日)
右眼:20/20−2
左眼:20/20−2
瞳孔不動症−右眼の瞳孔が左目より大きい。
角膜反射−右眼は明らかに正常
左眼については、私はどんな角膜反射も引き出せなかった−明らかに麻痺して
いる。
共役的な働きは、上下のある部分を見つめる時以外には正常。すべての共役的凝視において、細かい目の動きができる。ただ、右側の側面を見る場合に色々な眼の動きが多くなることに興味がある(これは小脳橋角腫瘍の場合にあり得るべきことである)。
内部の精密検査
瞳孔の拡大
右眼−外周は正常。細静脈やや充血。
左眼−鼻との今日ややハッキリせず。細静脈充血。
印象−小脳橋角腫瘍
視野(図面同封(1956年6月21日)
右眼:20/20
左眼:20/20
瞳孔は左右等しい。
瞳孔不動症−今日は認めず。
角膜反射−右眼、正常
左眼は角膜の感度減退。しかし、感度は明らかに改善された。上方の凝視に明
らかな障害、今日は認められず。最側方の凝視の際の眼振。眼振には客観的な
変化を認めず。眼底は正常で、また血管系は明らかに正常範囲内。
視野(図面同封(1956年11月21日)
軽度の結膜炎、最近の細菌感染による一時的なものと思われる。瞳孔左右等しい。
右眼:角膜反射正常
左眼:少し角膜反射低下、ただし眼はフルに動かせ眼筋とは関係なし。
内部(1957年1月25日)
正常。症状は減退。複視なし。瞳孔不動症も認めず。左眼の角膜販社やや減退。
内部正常。眼筋の異常は随伴・麻痺、共になし。
両眼の共役的動きに問題なし。
視野検査(対診法で視野の変化示さず)
視野(図面同封1957年3月29日)
右眼:20/20
左眼:20/20
瞳孔は左右等しく、外周正常。反応も共感性で直接的。
右眼−角膜反射正常。
左眼−角膜に、やや感応度減退が、多分あると認められる。共役的働きは充分。
最側方の凝視時における細かな間欠性の眼振が出て来た。乳頭・血管系・基底は全般的に正常。視野検査の結果、正常範囲内であることが判った。
視野(1957年5月17日)
正常。症状は減退した。
追伸
私が最初にこの患者を診た時には、乳頭ははっきりしていた。しかし私はその時、細静脈は異常に拡張していると考えた−今日ではその印象は受けない。そして私の考えでは、血管系は全て客観的に正常である。
視野(1957年8月1日)
右眼:20/20
左眼:20/20
最後に検診した5月17日の結果と同じである。血管系は肉眼的に観て正常である。視覚検査を行った。写しを同封。視野は最後の検診時に比べ、何かの変化があったとしても、それは少しよくなったということである。
■1957年12月のレポート
患者は正常な状態にあり、もう1年以上もフルタイムで働いている。
Best Regards - office.com/setup
norton.com/setup
マツコ、妊婦に扮し“9つ子”を出産!
ですって。まぁ10月以降フジテレビに9つの新番組が誕生することにちなんでのイメージキャラとのことですけど、ゲテモノ番組が生まれるってことですかね??
CM見てからですけどちょっと興味あるような怖いような・・
閲覧させて頂きましたo(*^▽^*)o
中国人船長逮捕問題で日本の中国依存体質が明確になりましたね。日本は中国にいろいろ弱みを握られているということでしょう。菅総理の腕の見せ所です。
負けるな!日本!
猛暑から一転、今日は急に涼しくなりました。秋ですね。
秋が一番大好きなのでわくわくしてきます。あったかいお風呂に入ってビールと鍋が合う季節ですねぇ。
鍋料理のレパートリーは50ぐらい持っているので、今日は何にしようか考え中です♪
ありがとうございます。