サプリ研究の第一人者、蒲原先生の公式ブログです。

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フラボノイド類の摂取と体重の関係 [2008年11月14日(金)]
今月の栄養学の専門ジャーナルに、フラボノイド類の摂取が多いとBMIの増加が抑制されるという調査研究が、オランダのグループから発表されていました。
(Am J Clin Nutr 2008 88: 1341-1352.)



フラボノイド類は、植物に含まれる抗酸化成分であり、これまでの研究によって抗肥満作用が示唆されています。



今回の研究では、前向き調査によって、フラボノイドの摂取とBMI(体格指数)との関連が調べられました。


具体的には、1986年の時点で55歳から69歳の男女4,280名を対象に、3種類のフラボノイド類(フラボノール、フラボン、カテキン)の摂取と、14年間にわたるBMIの変化との関係が解析されています。


各種の交絡因子で補正後、女性では、フラボノイド類の摂取が最も少ない群(4分位)においてBMIが0.95(フラボノール/フラボン)、0.77(カテキン)、それぞれ増加したのに対して、摂取量が最も多い群では、BMIの増加率が有意に低く、0.40(フラボノール/フラボン)と0.31(カテキン)ということです。
(両群間での差:p<0.05)


一方、男性ではフラボノイド類の摂取とBMIとの間に有意な相関は示されていません。



以上のデータから、フラボノイド類の摂取は、女性における体重増加抑制に効果があると示唆されます。



フラボノイド類は、多くの植物性食品に含まれており、バランスのとれた食生活で摂取することができます。

サプリメントでは、カテキンなどが製品化されている他、ビタミンP(フラボノイド類)として成分に含まれている製品があります。
posted at 23:54 | この記事のURL
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グルコマンナンの働き [2008年11月13日(木)]
栄養学の専門誌に、グルコマンナンによる体重や脂質代謝・糖代謝への影響を解析した総説が米国のグループから報告されていました。
(Am J Clin Nutr 2008 88: 1167-1175.)


グルコマンナンは、水溶性食物繊維の1種で、コンニャクなどに含まれています。

これまでの研究によって、グルコマンナンの摂取は、脂質代謝や糖代謝、血圧、体重に影響を及ぼすことが示唆されてきました。



今回の総説では、2007年11月までに報告された14報(n=531)を検討した結果、グルコマンナン摂取によって、

・総コレステロール値の有意な低下(-19.28 mg/dL)、

・LDLコレステロール値の有意な低下(-15.99 mg/dL)、

・中性脂肪値の有意な低下(-11.08 mg/dL)、

・体重の有意な低下(-0.79 kg)、

・空腹時血糖の有意な低下(-7.44 mg/dL)

が認められたということです。



これら以外の指標(HDL値や血圧)について、グルコマンナン摂取による変化は認められていません。


また、小児の患者、食事指導を受けている患者、耐糖能異常を有する患者では、グルコマンナンの摂取による改善作用はより小さいという結果でした。


この総説から、グルコマンナンによる脂質代謝や糖代謝への改善作用が示唆されます。



DHCでは、コンニャクを含む食品として米こんにゃく、こんにゃくチップス(オニオン味チョコ味チリペッパー味)を製品化しています。
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炭水化物の種類と加齢黄斑変性症のリスク [2008年11月12日(水)]
昨日に続いて、炭水化物の摂取と疾患との関係に関するデータです。


栄養学の専門ジャーナルに、グリセミックインデックス(GI)と加齢黄斑変性症との関係を検討した疫学研究が報告されていました。
(Am J Clin Nutr 2008 88: 1104-1110.)


加齢黄斑変性症は、高齢者における視力障害の原因となる疾患です。

発症には食事性の因子も関与すると考えられ、単純炭水化物の摂取(あるいは高GI食の摂取)が候補の一つという説があります。


そこで、今回の研究では、グリセミックインデックスと加齢黄斑変性症発症との関連を検討する目的で、49歳以上の被験者3,654名を対象に調査が行われました。


5年後のフォローアップでは2,335名、10年後には1,952名のデータが解析されています。

10年以上の累積調査の結果、1,810名のうち、208名が初期の加齢黄斑変性症と診断されました。


各種の交絡因子で補正後、高GI食の摂取と加齢黄斑変性症との間には有意な相関が認められたということです。

(4分位での上位と下位の比較では77%のリスク上昇が示されました。)


一方、シリアルやオートミールの摂取と加齢黄斑変性症との間には負の相関が認められています。

(32%のリスク低下というデータです。)

(シリアルなどは高食物繊維食であり、低GI食とされています。)


なお、進行した加齢黄斑変性症では、GIとの間に有意な関連は示されていません。



以上のデータから、単純炭水化物の多い高GI食は、加齢黄斑変性症の発症リスクをあげると考えられます。


ところで、加齢黄斑変性症を予防する機能性食品成分としては、ルテインなどのカロテノイド類がよく知られており、サプリメントとしても広く利用されています。
posted at 23:54 | この記事のURL
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炭水化物の摂取と大腸がんの関係 [2008年11月11日(火)]
栄養学の専門誌に、炭水化物の摂取と大腸がんとの関係を示した疫学研究が、米国のグループから発表されていました。
(Am J Clin Nutr 2008 88: 1074-1082)



高グリセミックロード(GL)食の摂取は、高インスリン血症を介して、大腸がんのリスクを高めることが考えられます。

(一般に、単純炭水化物の多い食事が高GL食になります。)


そこで、今回の研究では、グリセミックロードと大腸がんのリスクとの関係を調べる目的で、191,004名を対象に、8年間のフォローアップが行われました


2,379例の大腸がん(大腸腺がん)が見出され、グリセミックロード、炭水化物、ショ糖の摂取との関連が調べられた結果、女性において、GLが高値になるほど大腸がんのリスクが低下するという相関が認められました。

(高GL群は低GL群に比べて25%の低下。P for trend =0.02)

(なお、高GL値への関与因子として、白米が大きいということです。)


一方、男性では、GLと大腸がんリスクとの相関は認められていません。


炭水化物およびショ糖と大腸がんリスクとの関連も類似した結果となっています。



この研究では、女性におけるGL値と大腸がんリスクとの負の相関関係は、すべての人種グループにおいて認められています。


以上のデータから、高GL値および炭水化物の摂取は、女性における大腸がんリスクを低下させることが示唆されます。


なお、これまでの研究では、炭水化物の摂取と大腸がんリスクは無関係であるというデータや、炭水化物の摂取が少ないほうが、がんリスクを低減できるというデータが多いと思います。


今回は、一般的な説とは逆のデータになっていますので、今後の検証が必要と考えられます。
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コーヒーによる2型糖尿病リスクの減少 [2008年11月10日(月)]
栄養学の専門ジャーナルに、コーヒーの摂取が多いと2型糖尿病のリスクが低いという疫学研究が、シンガポールのグループから報告されていました。
(Am J Clin Nutr 2008 88: 979-985.)



これまでの研究では、白人を対象にした調査において、コーヒーの摂取と2型糖尿病のリスクが負の相関関係にあることが示唆されています。

一方、アジア人を対象にした調査はまだ十分ではありません。


そこで、今回の研究では、中国系シンガポール人の男女36,908名(45歳から74歳)を対象に、コーヒー・紅茶・緑茶の摂取と2型糖尿病のリスクとの関係が調べられました。

調査の開始は1993年から98年で、フォローアップは99年から2004年に行われています。


データ解析の結果、1日にコーヒーを4杯以上摂取する人は、まったく摂取しない人に比べて、糖尿病のリスクが30%低下するという関係が認められたということです。
(RR=0.70, 95%CI: 0.53-0.93)

また、紅茶を1杯以上摂取する人は、まったく摂取しない人に比べて14%のリスク低下が示されています。

一方、緑茶の摂取と糖尿病との関係は明確ではありませんでした。



以上のデータから、アジア人におけるコーヒーの摂取と2型糖尿病リスクの低下との関連が示唆されます。


今後、臨床的意義の解析が期待される分野です。

posted at 23:57 | この記事のURL
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魚類摂取による前立腺がん生存率の改善 [2008年11月09日(日)]
今月の栄養学の専門誌に、魚類の摂取と前立腺がんの発生率および死亡率に関する調査研究が、米国のグループから報告されていました。
(Am J Clin Nutr 2008 88: 1297-1303.)


魚類には、DHAやEPAなどのオメガ3系必須脂肪酸が含まれており、魚類の摂取による抗炎症作用や動脈硬化性疾患抑制作用が示されています。

一方、魚油の摂取とがん抑制との関係については議論があります。


そこで、今回の研究では、魚類の摂取と前立腺がんの発生率および死亡率について検討されました。

1983年の時点でがんに罹患していない男性20,167名を対象に、22年間のフォローアップが行われた結果、2,161名において前立腺がんが見出され、230名の死亡が確認されました。


魚類摂取との関連を調べたところ、前立腺がんの発生率との関連は認められませんでした。


一方、前立腺がんによる死亡率との関連では、1週間に5回以上、魚類を摂取する人は、1週間に1回未満の人に比べて、死亡リスクが48%低いというデータが得られました。
(RR=0.52; 95% CI: 0.30, 0.91; P for trend = 0.05)



以上のデータから、魚類の摂取による前立腺がん死亡率の低下効果が期待されます。
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地中海式食事療法+ファイトケミカル類 [2008年11月08日(土)]
今月の栄養学の専門誌に、地中海式ダイエットに追加したファイトケミカル類の効果を検証した臨床研究が報告されていました。
(Nutr Metab (Lond). 2008 Nov 4;5(1):29.)


これまでの研究によって、地中海式ダイエットをベースに、低GL食に調整した食事は、AHAによる標準的な食事療法よりも心血管疾患予防に好ましい影響を与えることが示唆されています。


今回の研究では、特定のファイトケミカル類によって、地中海式ダイエットをベースにした食事療法の効果が増強されるかどうか、検討されました。


脂質異常症とメタボリック症候群を合併した25歳から80歳までの被験者49名を対象に、12週間の介入試験を行った結果、大豆タンパク質、植物ステロール、プロアントシアニジンやイソアルファ酸といったファイトケミカル類による脂質異常症改善作用が示されたということです。

その他、心血管リスクスコアの有意な減少も認められています。


以上のデータから、地中海式ダイエットをベースに、特定のファイトケミカル類を追加することで、メタボリック症候群の改善および心血管リスクの低下作用が得られると考えられます。
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魚油による自律神経障害の改善 [2008年11月07日(金)]
今月の栄養学の専門誌に、DHAの豊富な魚油の投与によって肥満者における自律神経障害が改善したという臨床研究が報告されていました。
(Br J Nutr. 2008 Nov;100(5):1097-103.)




これまでの研究によって、魚油の摂取と適切な運動習慣とが心血管疾患の予後の改善に寄与することが知られています。


また、運動が心拍数の変動を改善することは知られていますが、魚油による心拍数への影響については議論があります。

(心拍数の変動は自律神経障害の指標となることから、心臓死などの予後を予見する因子の一つと考えられます。)



そこで、今回の研究では、肥満者を対象に、DHAの豊富な魚油サプリメントが心拍数の変動に影響を及ぼすかどうか、検討されました。


心疾患のリスクを有する肥満者65名に対して、ランダム化二重盲検法にて1日あたり6グラムの魚油(DHA 1.56g + EPA 0.36g)あるいは偽薬が12週間投与され、さらに各群について運動を加えた群(1週間に3日間、45分間)と加えなかった群で比較が行われ、46名について心拍数の変動が12週間の介入前後で測定されています。


その結果、偽薬群に比べて、魚油サプリメント投与群において、心拍数変動の改善(自律神経障害の改善)が認められたということです。

ただし、運動介入の併用による効果は明確ではありませんでした。



以上のデータから、心疾患のリスクを有する肥満者では、DHAの豊富な魚油サプリメントの投与が自律神経機能の改善に有用であることが示唆されます。
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マルチビタミン/ミネラルサプリメントと小児の認知機能の関係 [2008年11月06日(木)]
今月の栄養学の専門誌に、マルチビタミン・マルチミネラルサプリメントの投与が小児の認知機能に好ましい影響を与えるという研究が、イギリスのグループから報告されていました。
(Br J Nutr. 2008 Nov;100(5):1086-96.)



健康保持と疾病予防には、適切な食生活が基本であるという原則に異論はないと思います。

一方で、ライフスタイルは大きく変化しつつあり、流通する食材/食品も以前とまったく同じものというわけではありません。

そこで、「バランスのとれた食生活を送りましょう」という助言以外に、サプリメント/健康食品を補完的に利用するという選択肢があります。

例えば、マルチビタミン・マルチミネラルといったサプリメントは、ベーシックなサプリメントとして年齢や性別を問わず広く利用されています。



さて、今回の研究では、健康な小児を対象に、マルチビタミン・マルチミネラルのサプリメントを毎日与えることで、認知機能や気分に影響があるかどうか、検討されています。


8歳から14歳までの健康な小児81名を対象に、小児向けサプリメント(小児向けビタミン/ミネラル)を12週間投与し、投与前後における認知機能と気分が評価されました。

(ランダム化二重盲検偽薬対照法にて実施。)


各種の認知機能(speed and accuracy of attention、secondary, semantic, spatial working memory、各種のTask)や気分関連指標等が解析された結果、注意力(attention task)や反応性の指標において、マルチビタミン・マルチミネラルサプリメント投与群における改善傾向(正確さ)が認められたということです。



論文著者らは、健康な小児に対してビタミンやミネラルのサプリメントを与えることは、脳の高次機能の潜在的な改善に有用であると考察しています。



これは、健常者を対象にした研究であり、かつ、必須栄養素を推奨量にて投与した(つまり介入効果は大きくない)試験ですので、明確な差は検出されにくいタイプの研究です。

検出力不足となりやすいタイプの臨床研究で、効果が示唆されたことに意義があると考えます。

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植物ステロール+スタチンによる脂質代謝改善作用 [2008年11月05日(水)]
今月の栄養学の専門ジャーナルに、植物ステロールとスタチン剤(脂質異常症の治療薬)を長期間併用したヒト臨床研究が、オランダのグループから報告されていました。
(Br J Nutr. 2008 Nov;100(5):937-41.)



植物ステロール/スタノール・マーガリンをスタチン剤服用に追加すると、LDLコレステロールがさらに10%低下します。

この低下幅は、スタチン剤を2倍に増量する時に得られる追加的な低下作用である3-7%と比べて大きい作用です。


今回の研究では、スタチン剤に植物ステロール/スタノールを併用する時の効果について、長期的な検討が行われています。


具体的には、既にスタチン剤投与を受けている患者を対象に、植物ステロール/スタノールを85週間併用投与し、脂質代謝への影響が測定されました。


患者54名を対象に、対照群(n=17)、植物ステロール(2.5g/日)併用群(n=18)、植物スタノール(2.5g/日)併用群(n=19)の3群について、ランダム化二重盲検法にて85週間の試験が行われた結果、LDLコレステロール値は、対照群に比べて、植物ステロール併用群では8.7%(0.28 mmol/L、P = 0.08)低下、植物スタノール併用群では13.1%(0.42 mmol/L, P = 0.006)低下というデータが得られています。

このとき、胆汁酸合成関連指標については、特に有意な変化は認められませんでした。



以上のデータから、植物ステロール/スタノールエステルは、スタチン治療に追加併用することで、脂質異常症を改善する効果が長期間にわたり得られると考えられます。
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卵朝食ダイエット [2008年11月04日(火)]
肥満研究の専門誌に、卵の朝食が減量をサポートするという研究が米国のグループから報告されていました。
(Int J Obes (Lond). 2008;32:1545-51.)


今回の研究では、カロリー制限によるダイエットに参加中の肥満者を対象に、総エネルギー量を一致させた、卵の朝食とベーグルの朝食との効果の違いが検討されています。


25歳から60歳の男女152名(BMI 25以上、50以下)を対象に、卵摂取群、卵ダイエット群、ベーグル摂取群、ベーグルダイエット群の4群にて比較が行われました。


卵の朝食では340kcal相当の卵2個、ベーグルの朝食では同じカロリーのベーグルが、1週間に最低5回利用されています。

また、卵ダイエット群とベーグルダイエット群は、カロリーが1,000kcalに制限された低脂肪食を摂取し、卵摂取群とベーグル摂取群では特に摂取エネルギー量に変更は行われていません。


8週間後、ベーグルダイエット群に比べて卵ダイエット群では、BMIの減少幅が61%大きく(-0.95±0.82 vs. -0.59±0.85, P<0.05)、減量幅が65%大きかった(-2.63±2.33 vs. -1.59±2.38 kg, P<0.05)という結果が得られました。


また、ウエスト周囲径の減少幅は34%大きかったということです(P<0.06)


一方、卵摂取群とベーグル摂取群とでは特に有意な変化は認められていません。

なお、総コレステロール値、HDL、LDL、中性脂肪といった脂質代謝指標について、各群間での有意な差は示されませんでした。



以上のデータから、卵の朝食は、ベーグルの朝食よりも減量サポートに効果的であることが
示唆されます。
(摂取カロリーの制限と併用する場合です。)


これは、高タンパク食(卵)のほうが、高炭水化物食(ベーグル)よりもダイエットには好ましいというデータと考えられます。
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サプリメント利用による小児の栄養改善効果 [2008年11月03日(月)]
今月の栄養学の専門ジャーナルに、小児におけるサプリメントの利用と栄養状態との関連について検討した調査研究が、米国のグループから報告されていました。
(J Am Diet Assoc. 2008 Nov;108(11):1874-80.)



今回の研究は、ハワイ州の8歳から11歳までの小児(オアフ島115名、ハワイ島70名)を対象に実施されています。


前日および前月のサプリメント利用について調査された結果、それぞれ26%(n=48)および40%(n=74)がサプリメントを利用していたということです。


栄養素の充足率は、食事のみに由来する栄養素に限定すると33%〜100%であったのに対して、サプリメントも含めた栄養素では59%〜100%というデータになっています。

特にビタミンA、E、Eにおける充足率の改善が顕著でした。




以上のデータから、小児におけるサプリメントの利用は、栄養素の充足率改善に有用であることが示唆されます。



適切な食事が基本という姿勢は、小児も大人も同様ですが、食生活やライフスタイルの変化に応じて、サプリメントを上手に利用するという選択肢を考慮することも大切でしょう。
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緑茶ポリフェノールによる関節リウマチへの作用 [2008年11月02日(日)]
今月の栄養学の専門誌に、緑茶ポリフェノールによる関節リウマチへの作用を検討した基礎研究が報告されていました。
(J Nutr. 2008 Nov;138(11):2111-6.)


緑茶に含まれるカテキンなどのポリフェノール類は、抗炎症作用を有しており、疾病予防作用が期待されています。


今回の研究では、緑茶ポリフェノール類の自己免疫疾患における作用を検討する目的で、ヒト関節リウマチ疾患モデル動物に緑茶が投与されています。

リンパ球機能やサイトカイン類の反応が調べられた結果、緑茶投与群では、偽薬群に比べて関節炎症状の有意な抑制が認められました。


このとき、緑茶投与群では、偽薬群に比べて、炎症性サイトカインであるIL-17値は低値であり、免疫調節機能を有するIL-10は高値でした。


その他、免疫や炎症反応に関与するいくつかの指標において有意な変化が示されており、それらのデータから、緑茶ポリフェノール類による免疫調節機能を介した関節症改善作用が示唆されています。


論文著者らは、関節リウマチに対する栄養療法として、緑茶ポリフェノール類を補完的に利用できる可能性を考察しています。


今後、臨床的意義の検討が期待される分野です。
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クルクミン(ウコン)による脂質代謝・糖代謝改善作用 [2008年11月01日(土)]
今月の代謝内分泌学の専門ジャーナルに、クルクミンによる脂質代謝・糖代謝改善作用を示した基礎研究が報告されていました。
(Metabolism. 2008 Nov;57(11):1576-83.)


クルクミンは、ウコンの主な成分の1種です。



今回の研究では、モデル動物を対象に、高脂肪食を摂取させ、クルクミン(0.05g/100g餌)の併用投与による代謝への影響が検討されました。


その結果、クルクミン投与によって、血中の遊離脂肪酸、総コレステロール、中性脂肪、レプチンの値、インスリン抵抗性指標がそれぞれ有意に低下したということです。

一方、HDLおよびapoA-1値は、対照群に比べて、クルクミン投与群における増加が認められています。


さらに、クルクミン投与によって、肝臓組織中でのコレステロールや中性脂肪の低下も示されました。

肝臓組織中では、β酸化の有意な亢進も認められています。



以上のデータから、ウコンの有効成分であるクルクミンによる脂質代謝および糖代謝の改善作用が示唆されます。

今後、臨床的意義の検討が期待される分野です。

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ナットウキナーゼによる血圧への作用 [2008年10月31日(金)]
高血圧の研究ジャーナルに、ナットウキナーゼの血圧に対する作用を検討したヒト臨床試験が報告されていました。
(Hypertens Res. 2008;31:1583-8.)


ナットウキナーゼは、納豆に含まれる酵素の1種で、血栓溶解活性を有することが知られています。


今回の研究では、収縮期血圧が130mmHgから159mmHgの高血圧前症(前高血圧/pre-hypertension)あるいはステージ1の高血圧症患者86名(20歳から80歳)を対象に、ランダム化二重盲検偽薬対照試験として、ナットウキナーゼ(2,000 FU)あるいは偽薬が8週間投与されています。


73名の被験者が試験を完了し、データ解析の結果、偽薬群に比べて、ナットウキナーゼ投与群では、収縮期血圧が5.55mmHg(p<0.05)、拡張期血圧が2.84mmHg(p<0.05)低下したということです。


また、レニン活性は、偽薬群に比べてナットウキナーゼ投与群において1.17 ng/mL/hの低下(p<0.05)が認められています。


以上のデータから、ナットウキナーゼによる高血圧改善作用が示唆されます。
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米国大統領選の報道 [2008年10月30日(木)]
今日は移動日でした。


今回の学会は、米国で開催されました。

大統領選の投票間近とあって、米国のメディアは選挙関係の報道が非常に多かったです。


選挙報道で興味深いのは、各メディアがどちらの候補を支持するのか、明確になるという点でしょうか。

日本では、(少なくとも建前上は)各メディアは公正中立を標榜するため、視聴者は、報道内容全般について、いずれかの候補にかたよった報道をしているというような、極端な印象を受けることは少ないと思います。


今回、私が気づいた範囲では、マケイン候補支持はFoxチャンネルくらいで、それ以外の主要メディアはオバマ候補支持という報道姿勢が非常に明確でした。
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抗酸化サプリメントによる慢性膵炎の改善 [2008年10月29日(水)]
消化器病学の専門誌に、慢性膵炎に対する抗酸化サプリメント投与の効果を示したヒト臨床試験が報告されていました。
(Gastroenterology. 2008 PMID: 18952082)


慢性膵炎の病態には、酸化障害の関与が考えられており、抗酸化サプリメントの投与によって、慢性膵炎の症状(疼痛など)の改善効果が期待できます。


そこで、今回の研究では、慢性膵炎患者(平均年齢30.5歳、男性86名、アルコール性慢性膵炎35名、特発性慢性膵炎92名)を対象に、偽薬投与群(n=56)、あるいは抗酸化サプリメント投与群(n=71)の2群に分けてランダム化比較試験による検討が行われました。

6ヶ月間の試験の結果、偽薬群に比べて抗酸化サプリメント投与群では、疼痛頻度の有意な低下、鎮痛剤の投与量の有意な減少が認められています。

その他、酸化障害指標(TBARS)の有意な低下なども示されました。



以上のデータから、慢性膵炎に伴う疼痛などの症状改善に、抗酸化サプリメントの投与が有用であることが示唆されます。

今後の研究成果が期待できる分野です。
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アルコールフリービールと動脈硬化関連マーカー [2008年10月28日(火)]
栄養学の専門誌に、アルコールフリービール(ノンアルコールビール)による動脈硬化関連マーカーへの影響を調べた臨床研究が、スペインのグループから報告されていました。
(Nutrition. 2008 Oct 21. PMID: 18947976)


主要な死因である心臓病(虚血性心疾患)と脳卒中は、いずれも動脈硬化性疾患です。

動脈硬化のリスクを測定する指標として、脂質代謝関連マーカーや酸化障害関連マーカー、炎症マーカーなどが用いられます。



今回の研究では、閉経後の女性におけるアルコールフリービールの動脈硬化関連指標への影響を検討する目的で、58歳から73歳までの尼僧(修道女)29名を対象に調査が行われました。

規律正しく同質な生活習慣を有する被験者を2群に分け、1日あたり500mlのアルコールフリービール摂取群と被摂取群との間で45日間投与による比較が行われた結果、アルコールフリービール投与群では前値に比べて酸化LDLおよびTBARS(酸化ストレスマーカーの1種)の有意な低下が示されたということです。


また、ビタミンEであるαトコフェロール値、赤血球中のグルタチオン値の有意な増加も示されています。


一方、CRPやサイトカイン類など炎症関連マーカーでは有意差は認められていません。


以上のデータから、論文著者らは、アルコールフリービールによるメリット(動脈硬化予防作用)が期待できると考察しています。



このデータは、アルコールフリービールに含まれるファイトケミカル類が抗酸化作用を介して示した働きを示したものと考えられます。

もちろん、ビールの摂取を推奨することにはならないと思いますが。
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ノコギリヤシ製品の解析 [2008年10月27日(月)]
今月の薬理学の専門誌に、市販のノコギリヤシ製品についての解析を行ったレポートがイタリアのグループから報告されていました。
(Pharmacology. 2008 Oct 10;82(4):270-275.)



ノコギリヤシ(学名Serenoa repens) 抽出物は、前立腺肥大症に伴う症状の改善作用が臨床試験で報告されており、ハーブサプリメントとして広く利用されています。



今回の研究は、イタリア市場で販売されているノコギリヤシ製品について、製品間あるいはロット間の違いを検証する目的で行われました。


培養細胞を用いたアッセイ系を用いて、5α還元酵素活性に対する影響を指標として、異なる製品の2種類のバッチが調べられています。

(具体的には、Permixon、Saba、Serpens、Idiprost、Prostamev、Profluss、Prostilといった製品が解析の対象となりました。)


解析の結果、製品間に違いは認められましたが、いずれの製品でも5α還元酵素阻害活性が示されています。



製品やバッチの違いによって活性に相違が認められたことから、論文著者らは、有効成分の定量や定性の必要性を考察しています。



ノコギリヤシは、前立腺肥大症対策のサプリメントとして、日本でも認知されるようになっています。

ノコギリヤシの有効性については、複数のランダム化比較試験によって既に示されてきました。

今後、消費者にとっては、適切な製品選びが大切と考えられます。
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ブルーベリーの肝臓保護作用 [2008年10月26日(日)]
農学系の専門誌に、ブルーベリーの肝臓保護作用を示した基礎研究が報告されていました。
(J Agric Food Chem. 2008;56(17):7803-7.)



モデル動物を用いた実験では、拘束ストレスによってALT値の上昇を伴う肝障害の発生が知られています。

例えば18時間の拘束ストレス下におかれたマウスにおいて、ALTは18.08 U/Lから107.68U/Lへと増加したというデータがあります。

このとき、酸化障害マーカーであるMDAの上昇、抗酸化指標のORACの低下が示されています。



そこで、今回の研究では、抗酸化作用を有するブルーベリー抽出物が経口投与され、拘束ストレス誘導性肝障害への影響が検討されました。


実験では、マウスを用いて、ブルーベリー抽出物(ビルベリー、42.04%アントシアニン類)が、50, 100, 200 mg/kg体重/日の用量で5日間、経口投与された結果、200mg群では血中ALT値が17.23U/Lへと有意に低下した(肝障害によるALTの上昇が抑制された)ということです。


さらに、ブルーベリー抽出物投与群では、肝臓組織において、GSH(グルタチオン、抗酸化成分)およびビタミンC(抗酸化ビタミン)の増加、MDAとNO値の有意な低下が認められました。



以上のデータから、ブルーベリーは、抗酸化作用を介して、拘束ストレスによる肝障害を抑制することが示唆されます。




ブルーベリー(ビルベリー)は視覚機能に対するサプリメント成分として知られています。


近年の研究では、ブルーベリー(ビルベリー)由来のアントシアニン(VMA)が、中枢や末梢の様々な臓器で抗酸化作用を示し、健康増進に寄与することが示されつつあります。


今後、臨床的意義の解明が期待される分野です。
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医学博士 蒲原聖可
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