今月の糖尿病研究の専門ジャーナル(電子版)に、ビタミンDサプリメントの利用と、血圧変動との関連を調べた臨床研究が、カナダのグループ(McGill University Health Centre)から報告されていました。
(
Diabet Med. 2012 Mar 13.)
ビタミンD値と血圧との間には負の相関が示されています。
(つまり、血中ビタミンD値が低いと、血圧が高くなるという関係です。)
(カナダのように)緯度の高い地域では、皮膚でのビタミンD合成についての季節変動が大きく、冬季には血中ビタミンD値が低下します。
(日本人でも同様の研究が知られています。)
血中ビタミンD値は、皮膚で合成されたビタミンD、および、食事やサプリメントで経口摂取されたビタミンDを反映します。
ビタミンDサプリメントを利用することで、ビタミンDの季節的な変動が抑制され、血圧の変動にも影響することが推察されます。
そこで、今回の研究では、皮膚でのビタミンD合成のための太陽光(紫外線)暴露の不足に対して、食事由来のビタミンD摂取が信頼できる代替の供給源となるかどうか、血圧の変動と、太陽光暴露の高低との視点から解析が行われました。
具体的には、2型糖尿病患者174名を対象に、食事由来のビタミンD摂取量、ビタミンDサプリメント摂取、血圧、体組成が、1年間、各季節において測定されています。
線形回帰分析により、太陽光暴露の高低、収縮期血圧と、ビタミンDの食事因子、サプリメントといった関連が検証されました。
年齢や性別、BMI、喫煙・飲酒、身体活動、降圧剤の服用、栄養摂取状況などで補正後の解析によると、
まず、
食事からのビタミンDの摂取は、年間を通じて十分ではなく、また、血圧との関連は認められませんでした。
次に、サプリメントの利用の有無による解析では、
サプリメント非利用者群に比べて、サプリメント利用者群では、太陽光暴露が少ない季節において、収縮期血圧が5.1mmHg (95% CI 0.5-9.7) 低いことが見出されています。
(つまり、太陽光暴露が少ない=皮膚のでビタミンD合成が少ない=高血圧のリスク、という関連に対して、サプリメントの利用が予防的に作用することが示唆されます。)
収縮期血圧は、サプリメントの利用群では、太陽光暴露の高低(季節による差)に大きく影響されることなく、比較的一定でした。
(太陽光の少ない時期:135.2 ± 2.6 mmHg、および多い時期:134.2 ± 2.5 mmHg)
一方、サプリメント非利用群では、 季節による差が大きくなっていました。
(少ない時期:140.2 ± 2.7 mmHg、多い時期: 130.5 ± 2.5 mmHg)
以上のデータから、年間を通じたビタミンDサプリメントの利用は、安定した供給源となり、2型糖尿病患者における収縮期血圧のコントロールに有用であることが示唆されます。
ビタミンDは、骨の健康維持や骨粗鬆症予防の必須栄養素として知られています。
近年、ビタミンDの機能性として、免疫調節作用や抗がん作用、インフルエンザ予防作用なども見出されてきました。
また、さまざまな生活習慣病では、血中ビタミンD値が低いことが知られており、健康保持や疾病予防のために、ビタミンDサプリメントの摂取が推奨されます。
(欠乏症の予防ということでは通常の食事からでも補えますが、疾病予防という目的では、1日あたり1,000〜2,000 IUの摂取が必要であり、サプリメントを利用することになります。)
今日では、ビタミンD欠乏症の典型例のような疾患は少ない一方、血中ビタミンDの低値が広く認められることから、生活習慣病の予防やアンチエイジングを目的としたビタミンDサプリメントの利用が推奨されます。
日本人の間でも、ビタミンDの潜在的不足/欠乏が顕著になっています。
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