今月の腫瘍学の専門ジャーナルに,コーヒーや紅茶の摂取と,子宮体がんリスクの低下との相関を示した観察研究が,米国のグループから報告されていました。
(Int J Cancer. 2009 Apr 1;124(7):1650-3.)
これまでの研究では,いくつかの食事因子と,子宮体がん(子宮内膜がん)との関連が調査されてきました。
ただし,コーヒーと紅茶について調べた研究は知られていません。
そこで,今回は,病院での症例対照研究として,子宮体がんリスクと,コーヒー・カフェイン抜きのコーヒー・紅茶の摂取との関連が検討されています。
具体的には,子宮体がん患者541名と,健常対照者541名に対して,1982年と1998年の間の食事調査が行われています。
これらの飲料を飲まない群,1日あたり0.5杯飲む群,1-2杯飲む群,2杯以上飲む群とで比較した結果,子宮体がんリスクは,飲まない群に比べて,
--レギュラーコーヒーを2杯以上飲む群では29%低下(有意差なし,95% CI 0.49-1.03),
--紅茶を2杯以上飲む群では44%低下(有意差あり,95%CI 0.35-0.90),
--コーヒーと紅茶を合わせて4杯以上摂取する群では53%低下(有意差あり,95%CI 0.28-0.80)
という結果が得られました。
以上のデータから,コーヒーおよび紅茶の摂取は,子宮体がんリスクの低下効果を有することが示唆されます。
コーヒーや紅茶による抗がん作用のメカニズムとして,ポリフェノール類による抗がん作用や抗酸化作用が考えられます。
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私はイタリアに7年間住んでいたのですが、はじめの3年間は調子に乗ってエスプレッソを飲みすぎ(イギリスに住んでいた時は紅茶党だったのですが)、とうとう胃潰瘍を患いました。さらに、仕事のストレスのために眠れなかったこともあり、ついに、カフェイン断ちをしてしまったのです。
それから、数年後、日本に帰ってきて、去年、子宮癌を発症していることがわかり、早期発見により、無事に手術を終えました。なんでも、過剰なのはよくないのですね。極端ではなく中道を由とするアジア人らしく、紅茶をこれからもたしなみたいと思います。