サプリ研究の第一人者、蒲原先生の公式ブログです。

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術前のノコギリヤシ投与は出血量に影響しない [2009年08月13日(木)]
今月の泌尿器科学の専門ジャーナルに,前立腺切除術前におけるノコギリヤシあるいはdutasterideの投与による手術中の出血量などへの影響を検討したヒト臨床研究が報告されていました。
(Scand J Urol Nephrol. 2009 Aug 9:1-6.)



ノコギリヤシは,北米原産の植物で,5α還元酵素阻害作用を有し,前立腺肥大症の予防や症状改善に対して広く利用されています。

これまでに,多くの臨床研究で有効性と安全性が示されています。


dutasteride(デュタステリド)は,前立腺肥大症治療薬(医療用医薬品)であり,5α還元酵素阻害作用を介して効果を発揮します。

(つまり,両者の作用機序は類似しています。)



さて,今回の研究では,経尿道的前立腺切除術(TURP)の施術前に,ノコギリヤシあるはデュタステリドを投与し,手術中の血液喪失量および前立腺間質細胞における微小血管密度への影響が検討されています。


(微小血管密度=microvessel density: MVDとは,血管新生マーカーの1つです。)



具体的には,TURPを予定されている患者75名を対象に,

(1)対照群21名

(2)デュタステリド5mg/日投与群27名

(3)ノコギリヤシ160mg/日投与群27名

の3群に分け,手術前5週間の介入試験が行われました。



全血液喪失量,血液喪失時間,切除組織あたりの血液喪失量/重量,血中ヘモグロビン値の変化などがすべての患者において測定され,前立腺組織におけるMVDが検証された結果,実薬群と対照群との間に有意な差は認められなかったということです。


以上のデータから,前立腺肥大症に対するノコギリヤシの摂取が,TURPの手術に影響を与える(手術中の出血量を増やす)といった可能性は低いと考えられます。




一般に,ハーブサプリメントの中には試験管内での基礎実験において,血小板作用抑制や抗凝固作用が示唆されているものがあり,手術の前(2週間くらい前)には,念のためにハーブサプリメントの摂取は控えましょう,ということがいわれます。


ただし,これらは基礎研究に基づく潜在的なリスクを議論しているのであって,実際の臨床試験で出血傾向が示されたわけではなく,手術時のリスクが示されたわけでもありません。


安全性が第一なので,データが不明な場合は,念のために手術の前には摂取を控えましょう,という指針で間違いはないと思います。


一方で,今回のノコギリヤシについてのデータなど,エビデンスが収集・構築されることによって,より臨床現場に即した現実的な指針が出せるようになると考えられます。


(他の例では,イチョウ葉エキスがあります。基礎研究や一部の有害事象として出血傾向のリスクが危惧されていましたが,最近の臨床試験による検討では,イチョウ葉エキスの摂取によって出血のリスクがあがるといったことは否定されています。)




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医療関係者のための健康食品情報サイト【DHCサプリメント研究所】
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