分子栄養学の専門ジャーナルに,トコトリエノールによるインスリン感受性改善作用を示した基礎研究が報告されていました。
(
Mol Nutr Food Res. 2009 Oct 28.)
トコトリエノールは,ビタミンEの1種で,強い抗酸化作用を有することから,動脈硬化性疾患など生活習慣病予防を目的としたサプリメント成分として利用されています。
トコトリエノールの豊富なパームオイルは,予備的な臨床研究や基礎研究において,血糖低下作用が知られています。
そこで,今回の研究では,トコトリエノールによる糖代謝改善に関する分子メカニズムが検討されました。
具体的には,エネルギー代謝に関与するPPARα,γ,δに対するトコトリエノール類の作用が検討されています。
(なお,PPARαとPPARγのリガンドは,脂質異常症,糖尿病の治療薬として利用されています。)
解析の結果,
in vitro系において,αトコトリエノールおよびγトコトリエノールは,PPARαを活性化し,δトコトリエノールは,PPARα,γ,δを活性化することが示されました。
また,糖尿病マウスを用いた実験系において,パームオイルに由来するトコトリエノール画分による,PPAR標的遺伝子を介した全身の糖利用促進およびインスリン感受性改善が認められています。
以上のデータから,PPARを介したトコトリエノールによる糖代謝改善作用が示唆されます。
今後,臨床的意義の解析が期待される分野です。
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トコトリエノールのさらなる研究に期待しちゃいます。