今月の栄養学の専門ジャーナルに,妊娠初期における母親の葉酸摂取と,子供の行動異常・精神障害の関係を調べた研究が,オランダのグループから報告されていました。
(
Br J Nutr. 2010 Feb;103(3):445-52.)
葉酸はビタミンB群の1種であり,神経系の発達に重要な栄養素です。
妊娠初期の摂取によって胎児の神経管障害のリスクを減らす働きを有することから,妊娠を考える場合には
葉酸サプリメントの摂取が推奨されています。
今回の研究では,妊娠中の母親の葉酸摂取と,子供の行動発達との関係が調べられました。
具体的にはコホート研究として,18ヶ月の時点の小児4214名を対象に調査が行われた結果,妊娠初期に葉酸を摂取しなかった母親の子供は,行動発達において問題を生じるリスクが有意に高いことが示されました(OR 1.44; 95 % CI 1.12, 1.86)。
葉酸サプリメントの利用は,内在化および外在化のいずれの問題行動も,有意に抑制するということです。
これらの関係は各種因子の補正後で認められており,出生児体重などと葉酸利用との間に関係は認められていません。
以上のデータから,妊娠初期に葉酸の摂取が不十分であれば小児の問題行動リスクを高めることが考えられ,葉酸サプリメントの利用は,神経管障害だけではなく,行動異常のリスクも低下させることが示唆されます。
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