今月の神経病学の専門ジャーナルに,アルツハイマー病に対して医薬品と抗酸化剤を併用した臨床研究が,米国のグループから報告されていました。
(
Neurodegener Dis. 2010 Mar 12;7(1-3):193-202)
アルツハイマー病に対しては治療法が確立しておらず,一般には,病気の進行を遅らせる医薬品が広く利用されています。
一方,機能性食品素材の分野では,イチョウ葉エキスなどについての予備的な臨床研究データが知られています。
今回の研究では,医薬品のドネペジル(商品名アリセプト)を服用中のアルツハイマー病患者に,抗酸化剤(複合サプリメント剤)を併用した補完療法についての効果が検証されました。
投与された抗酸化剤の構成成分は,
・カルノシン,コエンザイムQ10,ビタミンE,ビタミンC,βカロテン,セレン,L-システイン,イチョウ葉エキス:抗酸化作用(タンパク質,脂質,核酸等を酸化障害から防ぐため)
・ビタミンB6,B9,B12(血中ホモシステイン値を下げるため)
・ビタミンB1,B2,B3(ペントースリン酸回路の維持)
となっています。
中等度のアルツハイマー病に罹患(NINCDS-ARDA およびNINCS-AIRENを指標)し,ドネペジル(5mg/日を2ヵ月以上)投与中の患者52名(男性21名,女性31名)を対象に,抗酸化複合サプリメント投与群あるいは偽薬投与群の2群(各群26名)に分けて,6ヶ月間の投与試験が行われました(ランダム化二重盲検法)。
48名の患者が試験を完了しています。
投与の結果,血中ヒドロキシペルオキシダーゼを指標としたd-ROMsに基づく酸化障害および血中ホモシステイン値の有意な低下(改善)が認められたということです。
(ただし,赤血球中のグルタチオンが増加した群において。)
また,認知機能の指標であるMMSE IIスコアは,ドネペジル+偽薬投与群では投与前後に変化は認められなかったのに対して,ドネペジル+抗酸化複合サプリメント投与群では有意な改善が見出されています。
今後,さらに質の高い臨床研究による検証が期待される分野です。
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