睡眠研究の専門ジャーナル(電子版)に,バレリアンによる睡眠障害改善作用を検証した総説が,スペインのグループから報告されていました。
(
Sleep Med. 2010 Mar 25.)
睡眠障害(不眠症)は,プライマリケアの中でよく認められる病態です。
不眠症に対するハーブサプリメントとしてバレリアンが知られています。
バレリアンは,単回投与による効果も示されていますが,一般には,1ヶ月間などの投与によって睡眠の質を改善する働きが期待されています。
今回の研究では,バレリアンの作用に関するRCT(ランダム化比較試験)について,メタ分析が行われました。
具体的には,Medline,Cochrane Library,Embase,Biosisといったデータベースを用いて,18報のRCTが抽出され,解析された結果,
睡眠潜時(睡眠導入までの時間)におけるバレリアン群と偽薬群の差は,平均0.70分(95%CI -3.44 to 4.83),
睡眠の質に関するスコアにおける両群の差は,-0.02 (95%CI, -0.35 to 0.31),
睡眠の質の改善を示す指標の相対危険度は,バレリアン群では,偽薬群に比べて1.37 (95%CI, 1.05-1.78)
と改善が示されています。
以上のデータから,バレリアンによる睡眠障害(不眠症)改善作用が示唆されます。
バレリアンに関するRCTでは,被験者のタイプや偽薬の作成などの点で,RCT間のばらつきが大きくなりますが,今回のメタ分析では,ハダッドスコアの大きな(質の高い)RCTが多く,異なる指標でのメタ分析で,その有効性が示されたことに意義があると考えられます。
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