今月の腫瘍学の専門ジャーナル(電子版)に,アルコールの摂取と膀胱がんとの関連を検証したメタ分析が報告されていました。
(
Cancer Causes Control. 2010 Jul 9)
これまでの疫学研究では,アルコール消費と,膀胱がんリスクとの相関について,一致したデータは示されていません。
そこで,今回の研究では,コホート研究と症例対照研究を対象に,アルコール消費と膀胱がんリスクとの関連についてメタ分析が行われました。
データベースから抽出された19報の研究が解析された結果,
アルコール消費全般と,膀胱がんリスクとの間に有意な相関は認められませんでした。
(OR = 1.00, 95% CI 0.89-1.10)
研究デザイン,性別,地域別,喫煙歴といった層別解析でも,有意な相関は示されていません。
次に,アルコールの種類で解析したところ,
ビール(OR = 0.86, 95% CI 0.76-0.96)と
ワイン(OR = 0.85, 95% CI 0.71-1.00)の摂取は,
膀胱がんリスクと用量依存的な負の相関を示したということです。
以上のデータから,アルコール全般では,膀胱がんリスクとの関連は認められませんが,ビールおよびワインの摂取は,膀胱がんリスクの低減と相関することが示唆されます。
(なお,これは,あくまで相関関係であり,因果関係を示すものではなく,仮に適量のビールやワインが膀胱がんリスクを低減するとしても,分子メカニズムの解析が必要です。
したがって,膀胱がんリスク低減を目的として,ビールやワインの摂取を勧めるものではありません。)
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