今月の腫瘍疫学研究の専門ジャーナルに,魚油の摂取による乳がんリスク低減効果を示した調査研究が,米国のグループ(Fred Hutchinson Cancer Research Center)から報告されていました。
(
Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2010 Jul;19(7):1696-708.)
近年の健康志向の高まりおよび魚油(DHAやEPA)の多彩な機能性の発見によって,ビタミンやミネラル以外に,魚油サプリメントが欧米を中心に広く利用されるようになりました。
これまでに,乳がんリスク低下を示した症例対照研究が複数知られています。
今回の研究では,前向き研究として,閉経後の女性を対象に,魚油サプリメントと乳がんリスクとの関係が調べられました。
(VITamins And Lifestyle (VITAL) コホート研究の一環です。)
具体的には,2000年から2002年にかけて,50歳から76歳までの閉経後の女性35,016名を対象に,サプリメントの摂取状況(既往や現状,頻度,摂取期間など)を調査しています。
次に,2000年から2007年までの間,乳がんの頻度が調べられ,880名の乳がんが見出されました。
多変量解析の結果,
現在の魚油サプリメントの利用は,乳がんリスクを32%低下させていました(HR 0.68,95% CI;0.50-0.92)。
(過去の利用は有意差なし)
解析によると,平均10年間の利用によって,有意なリスク低減効果が示されています(P trend = 0.09)。
また,乳がんの種類(腺管がんと小葉がん)に関する解析では,現在の魚油サプリメント摂取は,腺管がんのリスクを低下させましたが(HR 0.56,95%CI;0.38〜0.83),小葉がんのリスクには影響していません(HR 1.08,95%CI;0.59〜1.96)。
一方, 更年期症状の緩和を目的として摂取されるブラックコホシュや大豆,セントジョーンズワートは,乳がんリスクとの関連は示されていません。
以上のデータから,魚油サプリメントの摂取は,乳がんリスクの抑制効果をもたらすことが期待されます。
------------------------------------------------------------------
医療機関専用サプリメント【DHC FOR MEDIC】(DHCフォーメディック)
医療関係者のための健康食品情報サイト【DHCサプリメント研究所】
------------------------------------------------------------------