今月のカナダ医師会ジャーナルに,ビタミンDの新しい摂取基準が発表されていました。
(
CMAJ. 2010 Jul 12.)
ビタミンDは,骨の健康維持・骨粗鬆症予防の他,免疫賦活作用,抗がん作用,糖尿病リスク低減など多彩な作用が示されています。
必須ビタミンの1つとされますが,その多彩な働きから,体内では重要なホルモンとして働くといってもいいかもしれません。
さて,Osteoporosis Canadaによる新しい摂取基準では,
50歳以上の成人は,骨の健康維持/骨粗鬆症予防のために, 1日あたり2,000 IUのビタミンDが推奨されています。
また,50歳未満の成人で,骨粗鬆症やビタミンDの吸収障害などがない場合,1日あたり400-1,000 IUのビタミンD摂取が推奨されています。
(ちなみに,日本人の食事摂取基準2010年版では,ビタミンDの目安量は,1日あたり5.5μグラム(220 IU)と,例によってかなり控えめな設定です。)
(改訂以前のカナダの古い基準では,50歳未満では400IU,50歳以上では800IUとされていました。)
骨粗鬆症患者では,1日あたり800 IUの摂取は,必要最低限と考えられます。
また,骨の健康維持・骨粗鬆症予防という目的では,ビタミンDの他,カルシウムやビタミンKなども重要な栄養素です。
なお,カナダは全般に,日本よりも高緯度に位置すること,また,日本とは人種構成が異なることなどの理由で,日本よりもビタミンDの摂取目安量が高めに設定されているという解釈もできるでしょう。
一方,近年の研究では,ビタミンDによる免疫賦活作用や抗がん作用などの機能性が確立されています。
ビタミンDがいくつかのがんリスクを減らすというエビデンスに基づき,3年前,カナダがん協会では,新しい摂取基準を設定しました。
具体的には,(特にビタミンDの血中濃度が低下する秋冬の期間に,すべての成人を対象に)1,000IU単位での摂取を推奨しています。
日本でも,単に骨の健康のための最低限の摂取というのではなく,もっと積極的にビタミンDの摂取量が注目されるべきでしょう。
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