今月の臨床栄養学の専門ジャーナル(電子版)に,亜鉛による気分障害の予防や治療の意義に関する総説が,米国のグループ(Florida State University College of Medicine)から報告されていました。
(
Curr Opin Clin Nutr Metab Care. 2010 Aug 4.)
亜鉛は,多彩な機能性を有する必須ミネラルの一つであり,サプリメント成分としても広く利用されています。
今回のレビューでは,気分障害(mood disorder)の予防や治療における亜鉛の役割について検証が行われました。
臨床研究および非臨床研究における最近の知見では,亜鉛の状態と,うつ病や不安といった神経心理障害との関連が明らかになっています。
レビューの結果,
亜鉛の不足は,うつ病や不安の状態を生じること,
亜鉛の投与は,うつ病の治療に用いられていること
が見出されました。
亜鉛の投与が抗うつ剤の有効性を改善することから,医薬品の抗うつ剤に十分反応しない患者における亜鉛の意義が注目されます。
最近の研究では,神経伝達物質系・抗酸化作用系,神経栄養因子や神経前駆細胞における亜鉛の働きが示されてきました。
亜鉛の摂取不足による味覚障害の人が増えていることは,よく知られています。
今回のレビューでまとめられたように,うつ病や不安といったメンタルな疾患にも亜鉛は重要な働きを有しています。
亜鉛の多い食材として牡蠣がありますが,毎日確実に手軽に摂取するには,
亜鉛サプリメントの利用も可能です。
ところで,最近,ホメオパシーの問題がメディアで取り上げられています。
補完代替医療の分野では,有効性や作用機序についてさまざまな議論がありますが,乳児やペットにも効果があることから,プラセボ効果ではなさそうです。
ただ,問題は,本物の施術者とそうではない人が混ざっており,素人には見分けるのが困難であることです。
(近代西洋医学によって確立された標準治療を拒否するようにところは避けましょう。)
日本で,有資格者(医師・歯科医師・獣医師のみ)を対象に,教育と施術を行っているのは,日本ホメオパシー医学会だけです。
(漢字一字違いでまったく別のグループがありますので,注意しましょう。)
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