今月の消化器病学の専門ジャーナルに,ピロリ菌感染モデルでのクルクミンによるNF-κB抑制作用を示した基礎研究が報告されていました。
(
World J Gastroenterol. 2010 Aug 28;16(32):4039-46.)
クルクミンは,ウコン(学名
Curcuma longa)に含まれるファイトケミカルの1種で,抗炎症作用や抗がん作用が知られています。
生活習慣病対策の機能性食品素材として,サプリメントの成分にも広く利用されています。
さて,今回の研究では,ヘリコバクターピロリ菌感染モデルラットにおけるクルクミンのNF-κBへの作用が検証されました。
具体的には,ピロリ菌感染モデルラット(n=25)を次の5群にわけて,NF-κB(p65)発現への影響が測定されています。
・対照群
・600mg/kg体重のクルクミン投与群
・ピロリ菌感染群
・ピロリ菌感染+200mg/kg体重のクルクミン投与群
・ピロリ菌感染+600mg/kg体重のクルクミン投与群
(ピロリ菌感染2週間後にクルクミンを7日間投与。)
胃粘膜が採取され,NF-κB(p65)発現が検証された結果,
まず,対照群に比べて,ピロリ菌感染群では,NF-κB発現の有意な亢進が見いだされました。
(10.72±2.10% vs. 16.02±2.98%, P = 0.004,)
一方,クルクミン投与群では,ピロリ菌感染群に比べてNF-κB発言が有意に低下したということです。
(2種類の用量で各々:11.79±2.13% (P = 0.017),11.42±1.68% (P = 0.010))
以上のデータから,ピロリ菌感染によって生じる炎症は,クルクミン投与によって,NF-κBシグナルの抑制を介して抑制されることが示唆されます。
今後,臨床的意義の検証が期待される分野です。
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