今月の薬理学の専門ジャーナルに,エキナセアによるチトクロームP450活性への作用,HIVプロテアーゼ阻害剤の濃度に関する臨床研究が,米国NIHのグループから報告されていました。
(
Pharmacotherapy. 2010 Aug;30(8):797-805.)
エキナセア(学名
Echinacea purpurea)は,免疫調節作用を有する北米原産ハーブで,風邪やインフルエンザの予防・症状軽減を目的として利用されています。
一方,薬剤代謝酵素であるチトクロームP450活性への影響から,エキナセアと医薬品との相互作用に対する研究が注目されています。
今回の研究では,HIV治療薬(HIVプロテアーゼ阻害剤)のロピナビル/リトナビル(Lopinavir/Ritonavir)に対するエキナセアの影響が検証されています。
具体的には,健康なボランティア13名(男性8名,女性5名)を対象に,1日あたりロピナビル(800mg)/リトナビル(200mg)(分2)を29.5日間投与し,
16日目に,1日あたり1500mgのエキナセア(分3)を28日間投与されました。
(つまり,14日間はロピナビル/リトナビルとエキナセアの併用,その後の14日間はエキナセア単独の投与です。)
(オープンラベル試験。P450 3Aの指標薬剤として8mgのmidazolam,P糖タンパク質の指標薬剤として120mgのfexofenadineがそれぞれ単回投与で,エキナセア28日間の投与前後で用いられています。)
血清が解析された結果,エキナセア投与によって,ロピナビル/リトナビルのAUCや血中濃度などに有意な変化は見出されていません。
このとき,midazolamのAUCは有意に低下(0.73 (90% CI 0.61-0.85, p=0.008))し,クリアランスは有意に増加(1.37 (90% CI 1.10-1.63, p=0.02))しています。
一方,fexofenadineの動態には変化は認められませんでした。
以上のデータから,エキナセアはCYP3A活性を亢進するものの,ロピナビル値に変化を生じることはなく,その理由として,リトナビルによるCYP3A阻害が考察されています。
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