医学博士　蒲原聖可ブログ

今月のスポーツ栄養学の専門ジャーナルに，トライアスロン選手におけるビタミンサプリメントの利用状況を調べた研究が，カタールのグループ(Qatar Orthopedic and Sports Medicine Hospital, Doha)から報告されていました。
(Int J Sport Nutr Exerc Metab. 2010 Dec;20(6):507-14.)



負荷の大きな運動では，各種栄養素の需要が増大することから食事からだけでは十分な量が摂取できず，アスリートの場合，ビタミンやミネラルなどの微量栄養素について，サプリメントの利用が一般的です。


今回の研究では，超負荷(ultraendurance)アスリートにおける食事とビタミンミネラルサプリメント利用に関する調査が行われました。


具体的には，トライアスリート37名(男性24名，女性13名)を対象に，7日間の栄養摂取調査が実施され，各種栄養素の摂取状況が調べられました。


解析の結果，男女とも，ほとんどの栄養素について摂取推奨量を充足していました。


ただし，ビタミンDは，男女とも推奨量を下回っています。


また，女性アスリートでは，葉酸とカリウムも若干下回っていました。


被験者の60％は，ビタミンサプリメントを摂取しており，
ビタミンC(97.5%)，ビタミンE(78.3%)，マルチビタミン(52.2%)の利用率が高いことが示されています。


アスリートがサプリメントを利用する主な目的として，風邪の予防や症状軽減があげられています。


ただし，正式な医療アドバイスに基づいてサプリメントを利用していたアスリートはわずか1名であったということです。






有効性，安全性，経済性の面から，アスリートに対するサプリメントの意義の啓発の必要性が示唆されるデータです。



（なお，風邪は，アスリートにとって大敵です。例えば今の時期ですと，駅伝選手での健康管理で風邪予防は非常に重要です。サプリメントでは，エキナセア，ビタミンC，ビタミンD，亜鉛あたりのエビデンスが示されています。）


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