今月の栄養代謝学の専門ジャーナル(電子版)に,植物ステロールによる総コレステロールおよび超悪玉(小型LDL)コレステロールの低下作用を示した臨床研究が,ギリシャのグループ(Agricultural University of Athens)から報告されていました。
(
Nutr Metab Cardiovasc Dis. 2011 Feb 11)
LDL(悪玉)コレステロール高値やHDL(善玉)コレステロール低値などの脂質異常は,動脈硬化を進展させ,心血管疾患や脳卒中のリスクとなります。
特に,中性脂肪値が高い場合には,超悪玉(小型LDL)コレステロールが高値となり,動脈硬化性疾患のリスクが高まります。
脂質代謝異常,特にコレステロール高値に対する機能性食品素材としては,
紅麹の他,
植物ステロールなどがあり,それらを含む
複合サプリメントも用いられています。
さて,今回の研究では,欧米型の食事を摂取しているメタボリック症候群患者での植物ステロールによる脂質代謝への影響が検証されています。
具体的には,メタボリック症候群患者108名を対象に,
植物ステロール(4グラム/日)添加ヨーグルト飲料投与群
対照ヨーグルト飲料投与群
の2群に関して比較が行われました。
(ランダム化偽薬対照試験)
(試験期間中,被験者は,すでに習慣となっている欧米型の食事を継続して摂取し,食事調査票に記録しています。)
2ヶ月間の植物ステロール投与の結果,偽薬対照群に比べて,
総コレステロール値,LDLコレステロール値,超悪玉(小型LDL)コレステロール値,apoB値,中性脂肪値の有意な低下(改善) (P < 0.05)が認められたということです。
欧米型の食事を継続して摂取したにもかかわらず,植物ステロール投与群では,
総コレステロール:15.9%低下(P = 0.02),
LDLコレステロール:20.3%低下(P < 0.001),
中性脂肪:19.1%低下(P < 0.001),
が示されています。
なお,HDLコレステロール,apoA1,血糖値,CRP値,血圧には有意な変化は認められていません。
以上のデータから,植物ステロール投与による脂質代謝異常改善作用が示唆されます。
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