先週末から昨日にかけて、いくつかのメディアで「卵の摂取と、コレステロール・心筋梗塞」についての報道がありました。
内容は、厚生労働省の研究班による大規模な疫学調査の結果、「卵の摂取」と「心筋梗塞の発生」との間に相関は認められなかったというものです。
例えば、下記のような見出し(オンライン版)でした。
「卵と心筋梗塞、実は無関係だった 厚労省9万人調査」
朝日新聞(06年11月20日)
「コレステロール、卵控えても下がりません!?」
読売新聞 (06年11月17日)
一般に、卵(特に卵黄)は、コレステロールを多く含むので、食べ過ぎると動脈硬化を促進し、狭心症や心筋梗塞と行った心臓病を起こしやすくなる、と考えられています。
そのため、高コレステロール血症の予防や改善のために、卵(卵黄)を食べ過ぎないように、という食事指導が行われています。
(具体的には、週に1〜2個、あるいは1日に1個までといった指導です。病態にあわせて異なります。)
さて、今回の新聞の見出しだけをみると、卵を食べても関係なさそうに感じてしまうのではないでしょうか?
今回の研究は、疫学調査というタイプの研究で、9万人の参加者に食習慣を聞いて、10年間、経過観察した、というものです。
卵を「ほぼ毎日食べる」から「ほとんど食べない」まで、4グループで比較検討した結果、総コレステロール値の平均や心筋梗塞の発症リスクは、「ほぼ毎日」卵を食べる人でも、他のグループと差が認められなかったということです。
ただし、これは、卵をいくら食べてもコレステロールには関係ない、ということではありません。
疫学調査にはさまざまな限界があり、ランダム化比較試験と行った介入試験(臨床試験)に比べると、信頼性は劣ります。
さて、今回のデータは、コレステロールについてです。
よく知られているように、コレステロール値には、食生活だけではなく、個人の体質も関係します。
そして、この遺伝的素因について、今回の研究の各グループ間で、一致させて比較できているわけではありません。
また、最近の食生活の変化によって、血中コレステロール値や心筋梗塞に対する影響に関して、(かつては貴重品だった)「卵」の影響力が相対的に低下したとも考えられます。
(つまり、いわゆる食生活の欧米化によって、卵以外にコレステロールを多く含む動物性食品の摂取量が相対的に増加したということです。)
いずれにせよ、卵に限らず、コレステロールの多い動物性食品については、摂り過ぎに注意しましょう。
(ところで、食品の表示に、「コレステロール・ゼロ」と書いている植物性食品があります。
コレステロールは動物性食品に含まれますので、植物性食品には、もともと存在しません。
そのため、例えば、植物オイルには、コレステロールは存在しません。
植物性食品のみを原材料にしている製品の場合、「コレステロール・ゼロ」というのは当然のことになります。) |