今月の循環器病学の専門ジャーナル(電子版)に,オリーブポリフェノールによる血管内皮細胞増殖抑制効果を示した基礎研究が,米国のグループ(Yale University School of Medicine)から報告されていました。
(
Eur J Vasc Endovasc Surg. 2011 Feb 16.)
地中海食は,地中海地方の伝統食で,野菜や果物,全粒の穀類,種実類,オリーブオイルの利用が多いという特徴があります。
オリーブオイルは,単価不飽和脂肪酸というだけではなく,最近の研究では,
エクストラヴァージン(バージン)オリーブオイルに含まれるファイトケミカル・ポリフェノールによる抗酸化作用の有効性も示されています。
オリーブオイルを多用する地中海食は,心臓病などの生活習慣病の予防効果を示し,抗炎症作用を有する抗炎症ダイエットであることがわかっています。
さて,今回の研究では,オリーブに存在するポリフェノールの1種,オレユロペンによる血管平滑筋細胞への影響が検証されました。
(オレユロペンは,オリーブオイルやオリーブリーフ(葉)抽出物に含まれています。)
具体的には,
in vitro系にて血管平滑筋細胞(Bovine vascular SMCs)を,100μMのオレユロペンにて培養し,1,3,5日間にわたって,細胞周期などの指標が測定されています。
解析の結果,オレユロペン存在下にて,細胞増殖の有意な抑制(92%)が認められたということです。
細胞周期の解析では,オレユロペンは,対照群に比べて,G1-S期を抑制していました。
G1期では,cyclinD, p21, p27といった分子は影響を受けていませんでしたが,ERK1/2活性は,オレユロペンによって阻害されています。
以上のデータから,オリーブポリフェノールのオレユロペンは,G1期とS期において作用し,血管平滑筋細胞の増殖を抑制することから,オリーブオイルやオリーブリーフの摂取による動脈硬化性疾患のリスク低減が示唆されます。
今後,臨床的意義の検証が期待される分野です。
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