補完代替医療の専門ジャーナルに、セントジョーンズワートとサムイー(SAM-e)の抗うつ作用に関するレビューが掲載されていました。
(
Altern Med Rev. 2011 Mar;16(1):17-39.)
うつ病に対する薬物治療において用いられる医薬品として、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI (セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)が用いられています。
しかし、すべてのSSRIおよびSNRIに対して、自殺企図のリスク増加に関する注意喚起が行われていることから、ハーブサプリメントの利用という選択肢も知られています。
そこで、今回の研究では、SSRIやSNRIといった治療の代替として、セントジョーンズワート(SJW)とサムイー(SAM-e;s-adenosyl methionine)の抗うつ作用に関する有効性と安全性のレビューが行われました。
具体的には、1975年1月から2010年7月までの間に発表された、SJWとサムイーの偽薬対照試験を抽出し、
ポジティブかネガティブか、調べられています。
(うつ病の指標として、Hamilton Depression scores [HAM-D] もしくは Montgomery-Asberg Depression Rating Scale [MADRS] を用いています。
また、臨床的意義・効果の大きさについても検証されました。)
まず、SJWに関して、14報中10報が、軽症から中等度のうつ病について有意な改善作用を示しています。
HAM-Dの変化の平均値と中央値は、それぞれ 0.64と0.48であり、比較的大きな効果が認められています。
また、いくつかのRCTでは、重症うつ病患者が対象となっていますが、SJWでは偽薬群に比べて十分な効果が認められていません。
次に、サムイーについては、14報中8報(57%)で有意な改善効果が示されています。
ただし、試験方法に疑問のあるRCTもあるということです。
抗うつ作用について有効性を示したRCTでの効果の大きさをみるとき、成人における軽症から中等度のうつ病に対して、セントジョーンズワートは有用であることが示唆されます。
一方、重症うつ病に対しては、有用性を示すデータは十分ではありません。
(重症うつ病に対するSJWの効果を報告したRCTもありますが、疾患自体が難治性であるため、コンセンサスは得られていません。)
サムイー(SAM-e)については、一定の抗うつ作用が示唆されます。
さらに、SSRIやSNRIで問題となる自殺念慮といった副作用は、SJWやサムイーでは認められなかったということです。
(もともと、SJWやサムイーと、SSRIやSNRIでは、作用メカニズムが異なります。)
今回のレビューでも示されたように、
これまでの多くの臨床研究によって、セントジョーンズワート(和名セイヨウオトギリソウ,学名
Hypericum perforatum)が、軽症から中等度のうつ病の症状改善に効果的であり、安全性も高いことが示されています。
うつ病に対して、セントジョーンズワートは、SSRIなどの医薬品と同等の効果を有し、かつ、副作用は医薬品よりも少ないという特徴があります。
一方、薬剤代謝酵素の活性への影響を介して、医薬品との相互作用(併用する医薬品の効果を減少あるいは増強する作用)を生じることがあるため、医薬品との併用には注意が必要です。
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