今月の医用食物学の専門ジャーナルに、マイタケ抽出物による乳がん細胞のアポトーシス誘導作用を示した基礎研究が報告されていました。
(
J Med Food. 2011 Jun;14(6):563-72.)
乳がんの治療では標準治療が確立していますが、予防、再発予防、あるいは標準治療の適応外の病態では、サプリメント・機能性食品素材が補完的に用いられることがあります。
(標準治療は、あくまで治療であり、それぞれのステージに対するプロトコールが決まっています。一方、発症予防や再発予防に対しては十分ではありません。)
これまでの研究では、薬用/食用キノコ類の成分、大豆イソフラボン類による乳がん抑制作用が示唆されてきました。
例えば、マイタケ(学名
Grifola frondosa)抽出物D-フラクションでは、免疫調節作用や抗腫瘍作用が知られています。
今回の研究では、ヒト乳がん細胞(MCF7)を用いて、マイタケDフラクションによるアポトーシス誘導作用が検証されました。
具体的には、8μg/mL, 36μg/mL, 91μg/mL, 183μg/mL, 367μg/mLの各濃度あるいは対照(0)群にて、24時間の処理が行われました。
解析の結果、乳がん細胞の生存率はマイタケ抽出物の濃度依存的に減少が認められています。
また、乳がん細胞のアポトーシスは、マイタケの濃度依存的に有意に増加しました。
マイクロアレイ解析では、アポトーシス経路に関与するBAK-1発現の亢進が認められました。
その他、アポトーシスの過程でミトコンドリアから放出されるcytochrome cの増加も見出されています。
以上のデータから、マイタケ抽出物(Dフラクション)は、BAK-1やcytochrome cを介したアポトーシス誘導作用によって乳がん細胞を抑制することが示唆されます。
今後、臨床的意義の検証が期待される分野です。
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