今月のSLE研究の専門ジャーナル(電子版)に、SLE(全身性エリテマトーデス)患者とビタミンD値との関連を調べた研究が、ポーランドのグループ(Medical University of Lodz)から報告されていました。
(Lupus. 2011 Nov 7.)
全身性エリテマトーデス(全身性紅斑性狼瘡:SLE;systemic lupus erythematosus)は、全身性炎症性病変を示す自己免疫疾患です。
皮膚症状として、蝶形紅斑とディスコイド疹が特徴です。
20〜40歳代の女性に好発し、日本での発病率は10万人あたり10〜100人と推定されています。
近年、ビタミンDの機能性が注目され、多くの慢性疾患でビタミンD低値が示されています。
今回の研究では、SLE患者におけるビタミンD関連指標が測定されました。
具体的には、SLE患者49名を対象に、血中ビタミンD(25(OH)D(3))値、抗ビタミンD抗体(抗1,25(OH)(2)D(3)抗体)、IL-17値、IL-23値が調べられています。
解析の結果、
SLE患者の血中ビタミンD値は、温かいシーズンには18.47 ± 9.14 ng/mlであり、
対照群の31.27 ± 12.65 ng/mlと比べて有意に低値でした(p = 0.0005)。
冬期には、SLE患者のビタミンD値はさらに低下しますが、対照群も低下するため、両群の有意差は見出されていません。
(11.71 ± 7.21 ng/ml vs. 16.01 ± 8.46 ng/ml; p = 0.054)
ビタミンD値が、基準値内(30-80 ng/ml; 70-200 nmol/l)の患者は3名でした。
サブ解析では、SLE患者のうち、腎障害あるいは白血球減少症を示す患者では、それらを有していない患者に比べて、血中ビタミンD値が有意に低い値でした。
(それぞれp = 0.006, p = 0.047)
冬期は、ビタミンD欠乏(<20 ng/ml)のリスクファクターであることも見出されています。
(odds ratio = 9.25; p = 0.005)
抗ビタミンD抗体は、3名の患者で検出されました。
ただし、SLE患者における血中ビタミンD値は、抗ビタミンD抗体の有無による差は見出されていません。
その他、IL-17やIL-23といった指標と、抗ビタミンD自己抗体の存在、臨床指標や検査指標について有意な相関は示されませんでした。
なお、IL-23は、ビタミンD欠乏患者では有意に低値でした(p = 0.037)。
以上のデータから、
SLE患者、特に、腎障害や白血球減少を示す患者では、ビタミンDが低値であり、ビタミンDサプリメントが必要であると考えられます。
また、一部の患者では、抗ビタミンD抗体が検出されますが、血中ビタミンD値への影響は示されていません。
ビタミンDは、骨の健康維持や骨粗鬆症予防の必須栄養素として知られています。
近年、ビタミンDの機能性として、免疫調節作用や抗がん作用、インフルエンザ予防作用なども見出されてきました。
また、さまざまな生活習慣病では、血中ビタミンD値が低いことが知られており、健康保持や疾病予防のために、ビタミンDサプリメントの摂取が推奨されます。
現代では、ビタミンD欠乏症の典型例のような疾患は少ない一方、血中ビタミンDの低値が広く認められることから、生活習慣病の予防やアンチエイジングを目的としたビタミンDサプリメントの利用が推奨されます。
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