今月の臓器移植研究の専門ジャーナルに、腎臓移植患者におけるビタミンDとタンパク尿との関連を調べた研究が、米国のグループ(University of Colorado)から報告されていました。
(
Transplant Proc. 2011 Dec;43(10):3723-9.)
慢性腎疾患患者では、ビタミンD欠乏が高率に認められ、さらに、タンパク尿やインスリン抵抗性、心血管疾患も生じることが知られています。
腎臓移植患者も、ビタミンD低値のリスクが高いことが推定されますが、臨床的意義は明確では必ずしもありません。
そこで、今回の研究では、生体腎移植レシピエント95名を対象に、ビタミンD欠乏の頻度と、タンパク尿、インスリン抵抗性、心血管疾患マーカーとの関連が調べられました。
血中ビタミンD値(25(OH)D)は、
19名が低値(≤ 30 ng/mL)、
76名が正常範囲(> 30 ng/mL)
でした。
(つまり、被験者の20%がビタミンD欠乏症になります。)
タンパク尿症(尿中タンパク質-クレアチニン[P/C] ≥ 0.2 mg/mg)は、
ビタミンD欠乏群において、正常群に比べて、高率に見出されました。
(47.4% vs 18.7%; P = .02)
血中ビタミンD値は、尿中P/C比および副甲状腺ホルモン値と負の相関を示しました。
(ビタミンDが低いと、タンパク尿症であり、副甲状腺ホルモン値が高いという相関です。)
一方、ビタミンD値は、インスリン抵抗性(HOMA-IR)や心血管疾患マーカーとの関連は示されていません。
単変量解析の結果、タンパク尿症と副甲状腺ホルモン値は、ビタミンD欠乏症のマーカーとなりうることが認められました。
(P < .01 and P = .03, respectively)
また、多変量解析では、
タンパク尿症は、ビタミンD欠乏の指標であることも示されています。
(OR= 4.526; P = .03)
以上のデータから、
腎臓移植患者では、ビタミンD欠乏症が高率に認められ、タンパク尿症と相関していることが示唆されます。
ビタミンDは、骨の健康維持や骨粗鬆症予防の必須栄養素として知られています。
近年、ビタミンDの機能性として、免疫調節作用や抗がん作用、インフルエンザ予防作用なども見出されてきました。
また、さまざまな生活習慣病では、血中ビタミンD値が低いことが知られており、健康保持や疾病予防のために、ビタミンDサプリメントの摂取が推奨されます。
現代では、ビタミンD欠乏症の典型例のような疾患は少ない一方、血中ビタミンDの低値が広く認められることから、生活習慣病の予防やアンチエイジングを目的としたビタミンDサプリメントの利用が推奨されます。
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