サプリ研究の第一人者、蒲原先生の公式ブログです。

2015年09月  >
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30
カテゴリアーカイブ
最新記事
コエンザイムQ10値が低いと死亡率が高い [2012年04月04日(水)]
救急医学・蘇生学の専門ジャーナル(電子版)に、心停止後に心拍再開した患者における死亡率と内在性コエンザイムQ10との関連を調べた研究が、米国のグループ(Beth Israel Deaconess Medical Center, Boston)から報告されていました。
(Resuscitation. 2012 Mar 27.)



コエンザイムQ10は、体内で産生される成分で、ミトコンドリアで作用します。

抗酸化作用とATP産生作用を介した生活習慣病予防効果が知られており、アンチエイジング分野では基本となるサプリメントです。


いくつかの慢性疾患や生活習慣病、加齢によって、内在性コエンザイムQ10の低下が認められます。




心停止後の蘇生に関しては、一般的な救急医学の蘇生方法の他、介入方法は限られています。




これまでの研究では、コエンザイムQ10の投与が心停止後の患者に有用であることが示唆されています。


そこで、今回の研究では、血中コエンザイムQ10値と、心停止後のアウトカムとの関連が調べられています。


具体的には、前向き研究として、三次救急センターにおいて、

心停止後の自発循環再開(ROSC: return of spontaneous circulation)患者23名と、健康な対照者16名を対象に、

血中コエンザイムQ10値、炎症性サイトカイン類が測定さました。



主エンドポイントは、生存による退院と退院時の神経症状です。


解析の結果、

血中コエンザイムQ10値は、

心停止後の患者では、健常対照群に比べて有意に低い値でした。

(患者群:0.28 umol/L, Inter-quartile Range (IQR): 0.22-0.39)

(対照群:0.75 umol/L, IQR 0.61-1.08; p<0.0001)




また、心停止後に死亡した患者では、生存した患者に比べて、血中CoQ10値は有意に低いことも見出されています。

(0.27 vs 0.47umol/L, p= 0.007)


さらに、退院時の神経学的所見のアウトカムに関して、

良好なアウトカムの群と、そうではない群との間にも有意差が見出されています。

(0.49 umol/L, IQR 0.30-0.67 vs 0.27 umol/L, IQR 0.21-0.30, p=0.02)




コエンザイムQ10値は、神経学的なアウトカムおよび入院中の死亡率の予測因子であると考えられます。

(それぞれadjusted p=0.02とadjusted p=0.026)



以上のデータから、

心停止後の自発循環再開患者において、

コエンザイムQ10値が低いと、死亡率が高くなり、神経学的アウトカムが低くなるという相関が示唆されます。




コエンザイムQ10には、酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)と還元型(=ユビキノール,ubiquinol)があります。



還元型CoQ10のほうが、酸化型CoQ10よりも体内で利用されやすいと考えられます。
(酸化型CoQ10は、体内に吸収された後、いったん還元されてから、利用されます。)


コエンザイムQ10に関するこれまでの研究の多くは、酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)を用いています。


したがって、一般的には、生活習慣病の予防やアンチエイジング目的に関して、酸化型CoQ10のユビキノンの摂取で十分な効果が期待できます。


一方、特定の疾患に対して用いる場合、あるいは、体内の生理機能が低下している高齢者の場合には、還元型CoQ10の利用が推奨されます。








------------------------------------------------------------------
医療機関専用サプリメント【DHC FOR MEDIC】(DHCフォーメディック)

医療関係者のための健康食品情報サイト【DHCサプリメント研究所】

【健康食品FAQ】

【DHCの研究開発】
------------------------------------------------------------------
posted at 23:56 | この記事のURL
この記事のURL
http://www.dhcblog.com/kamohara/archive/2145
プロフィール


医学博士 蒲原聖可
自己紹介
ブログ
リンク集

http://www.dhcblog.com/kamohara/index1_0.rdf
ログイン
Mypagetopに戻る