高齢者での筋肉骨格系に対するビタミンDの臨床的意義を検証した臨床研究が、イタリアのグループ(University of Padova)から報告されていました。
(
PLoS One. 2012;7(4):e34950.)
ビタミンDは、高齢者における転倒/骨折予防の効果が知られています。
作用メカニズムとして、骨の健康維持のほか、筋肉組織に対する質的・量的な変化を生じる作用が推定されています。
ただし、高齢者での筋骨格系機能に対するビタミンDの臨床的意義については議論があります。
そこで、今回の研究では、高齢者において、血中ビタミンD(25OH-D)値と、身体機能との関連が調べられています。
具体的には、地域居住の2,694名を対象に、
タンデム試験、椅子立ち上がり(TCS)、歩行速度、6分間歩行距離(6 mW)、握力、大腿四頭筋筋力などが測定されました。
解析の結果、
血中ビタミンD値は、TCS、歩行速度、6 mW、握力との関連が見出された一方、
タンデム試験や大腿四頭筋筋力とは相関していませんでした。
各種交絡因子で補正後では、
6 mW (p = .0002 in women; <.0001 in men)
および
女性でのTCS (p = .004)
男性での歩行速度(p = .0006)と握力(p = .03)
について、有意な相関が認められています。
血中ビタミンD値が上がるにつれて、
男女両方での6 mW、
女性でのTCS、
男性での歩行速度と握力、
がそれぞれ改善しました。
また、これらの改善は、
25OHD値が、20 から100 nmol/Lにかけて見出されています。
以上のデータから、
高齢者において、
血中ビタミンD値が高値であれば、
相対的に筋力が高く、身体機能が維持されていることが示唆されます。
今後、ビタミンDによる筋肉組織への質的・量的な変化に関する分子メカニズムの検証、サプリメントを用いた介入試験による臨床的意義の検証が期待されます。
ビタミンDは、骨の健康維持や骨粗鬆症予防の必須栄養素として知られています。
近年、ビタミンDの機能性として、免疫調節作用や抗がん作用、インフルエンザ予防作用なども見出されてきました。
また、さまざまな生活習慣病では、血中ビタミンD値が低いことが知られており、健康保持や疾病予防のために、ビタミンDサプリメントの摂取が推奨されます。
(欠乏症の予防ということでは通常の食事からでも補えますが、疾病予防という目的では、1日あたり1,000〜2,000 IUの摂取が必要であり、サプリメントを利用することになります。)
今日では、ビタミンD欠乏症の典型例のような疾患は少ない一方、血中ビタミンDの低値が広く認められることから、生活習慣病の予防やアンチエイジングを目的としたビタミンDサプリメントの利用が推奨されます。
日本人の間でも、ビタミンDの潜在的不足/欠乏が顕著になっています。
たとえば、
日本人妊婦の90%がビタミンD不足、
血中ビタミンD値が高いと大腸腺腫リスクが低い
というデータがあります。
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