今月の小児科学の専門ジャーナル(電子版)に、食品への葉酸強化/添加による小児がんの減少効果を示した研究が、米国のグループ(University of Minnesota)から報告されていました。
(
Pediatrics. 2012 May 21)
米国では、必須栄養素の不足による疾病を予防するために、通常の食品に栄養素を強化(添加)するという公衆衛生上の施策がとられています。
例えば、100年ほど前から、食卓塩はヨウ素強化です。
また、シリアルやコメにはビタミンB類が添加されています。
葉酸は、ビタミンB類の1種であり、妊娠初期に不足すると、小児の発達障害を生じ神経管欠損症のリスクを高めることから、日本でも
葉酸サプリメントの利用が推奨されています。
これまでの疫学研究では、周産期におけるビタミンサプリメントの利用によって、小児がんのリスクが低下することが示唆されています。
そこで、今回の研究では、葉酸強化/添加シリアルによる小児がんへの影響が検証されました。
具体的には、がん疫学研究データ(SEER)を用いて、
0歳から4歳の乳幼児におけるがんの発生率を、
葉酸添加の前後で調べています。
(1986-2008のSurveillance, Epidemiology and End Results (SEER)です。)
解析の結果、
1986年から2008年までの間に、
0歳から4歳の乳幼児8829名において、がん発症が報告されました。
葉酸の添加前後の比較では、
腎芽腫(ウィルムス腫瘍)、
PNET(原始神経外胚葉性腫瘍;primitive neuroectodermal tumor)、
上衣腫(ependymoma)(脳腫瘍の1種)
に関して有意な発症リスクの低下が認められたということです。
その他の小児がんについて、葉酸による影響は認められませんでした。
以上のデータから、
米国では、葉酸強化/添加シリアルの利用によって、
一部の小児がんのリスクが有意に低下したことが示唆されます。
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