腎臓病学の専門ジャーナルに、還元型コエンザイムQ10による腎機能改善作用を示した基礎研究が、東京大学のグループから報告されていました。
(Cl
in Exp Nephrol. 2011 Feb;15(1):30-3. )
コエンザイムQ10は、@抗酸化作用、AATP(エネルギー源)産生作用を介して健康保持や疾病予防に働きます。
もともと体内で合成される成分ですが、生活習慣病や加齢によって減少するため、アンチエイジング分野で広く利用されているサプリメントです。
さて、今回の研究では、還元型コエンザイムQ10(CoQ10)による腎機能保護作用が検証されました。
具体的には、3週齢の片腎摘出雄Sprague-Dawley ラットを
・通常食投与群(食塩0.3%)、
・高食塩投与群(8%)
・高食塩+CoQ10(600 mg/kg BW)併用投与群
の3群(各群n=10)に分けて
4週間の介入試験が行われました。
収縮期血圧、尿中アルブミン、酸化障害、腎組織中のCoQ10値などが調べられています。
解析の結果、
高食塩負荷群では、
収縮期血圧の上昇 (111.0 ± 3.6 vs. 169.4 ± 14.3 mmHg, p < 0.01)、
尿中アルブミンの増加 (43.8 ± 28.0 vs. 2528.7 ± 1379.0 µg/day, p < 0.02)
が認められました。
また、腎組織における酸化ストレス障害の亢進も見出されています。
(866.3 ± 102.8 vs. 2721.4 ± 973.3 RLU/g kidney, p < 0.01)
一方、還元型CoQ10を投与した群では、
収縮期血圧の上昇は抑制 (143.9 ± 29.0 mmHg, p < 0.05)、
尿アルブミンの増加も抑制 (256.1 ± 122.1 µg/day, p < 0.02)、
腎組織における酸化ストレス亢進も抑制(877.8 ± 195.6 RLU/g kidney, p < 0.01)
されました。
このとき、腎組織におけるCoQ10値の増加も見出されています。
以上のデータから、
還元型コエンザイムQ10(CoQ10)投与によって、抗酸化作用を介した、食塩負荷時における腎機能維持・改善作用が示唆されます。
今後、臨床的意義の検証が期待される分野です。
一般に、腎臓疾患では、酸化ストレス亢進状態が認められるため、ビタミンCやビタミンEといった抗酸化ビタミン、抗酸化作用を示し腎疾患で低下するコエンザイムQ10をサプリメントとして投与することが推奨されます。
コエンザイムQ10には、酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)と還元型(=ユビキノール,ubiquinol)があります。
還元型CoQ10のほうが、酸化型CoQ10よりも体内で利用されやすいと考えられます。
(酸化型CoQ10は、体内に吸収された後、いったん還元されてから、利用されます。)
コエンザイムQ10に関するこれまでの研究の多くは、酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)を用いています。
したがって、一般的には、生活習慣病の予防やアンチエイジング目的に関して、
酸化型CoQ10のユビキノンの摂取で十分な効果が期待できます。
一方、特定の疾患に対して用いる場合、あるいは、体内の生理機能が低下している高齢者の場合には、
還元型CoQ10の利用が推奨されます。
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