今月の栄養学の専門ジャーナルに、ドライアップル(リンゴ)による脂質代謝改善作用を示した臨床研究が報告されていました。
(
J Acad Nutr Diet. 2012 Aug;112(8):1158-68)
リンゴ(果皮)には、抗酸化作用や抗炎症作用を有するポリフェノールが存在し、代謝改善作用を介した
機能性食品素材としてサプリメント成分に利用されています。
これまでの基礎研究では、
りんごポリフェノールによる胃粘膜保護作用などが知られています。
しかし、リンゴの作用を調べた臨床研究はあまり知られていません。
今回の臨床研究では、リンゴ(ドライアップル)摂取による心血管疾患リスクへの影響が検証されました。
一般に、女性では、男性よりも心血管リスクが低いとされますが、
閉経後は、ホルモンバランスの変化とともに、男性と同様に、心血管リスクが上昇します。
そこで、閉経後の女性が被験者となっています。
具体的には、
米国フロリダ州において、2007年から2009年にかけて、
閉経後の女性160名を対象に、
・ドライアップル投与群(75グラム/日)
・ドライプラム投与群(対照群)
の2群について、
1年間の介入試験が行われました。
投与前、3ヵ月、6ヶ月、12ヶ月の時点で関連指標の測定が行われました。
解析の結果、
まず、いずれのドライフルーツでも、総摂取エネルギーの摂取量に有意な変化は見出されませんでした。
しかし、ドライアップル投与群では、1年間の介入後に、体重が1.5kg低下しました。
このとき、ドライプラム投与群では、体重の変化は見出されていません。
また、脂質代謝関連指標では、
6ヶ月の時点においてのみ、
ドライプラム投与群に比べて、
ドライアップル投与群において、
総コレステロール値が有意に低下していました。
ドライプラム投与群では、有意差は示されませんでしたが、
血中の総コレステロールおよびLDLは、12ヶ月の時点で、投与前に比べて、
それぞれ、3.5%と8%、低下傾向が見出されました。
したがって、両群間に有意な差はないことも示唆されます。
しかし、ドライアップル投与群では、
血中の総コレステロール値とLDL値が、
投与前に比べて、3ヵ月の時点でも、
それぞれ9%と16%、有意な低下を示しました。
さらに、6か月の時点で、
13%と24%、低下し、
その後は、一定の値になっています。
群(集団)内解析でも、
ドライアップル投与によって、動脈硬化リスクの改善が認められました。
(ドライプラム投与では見出されていません。)
なお、CRP値は、両群で低下しましたが、
3ヵ月の時点では、ドライプラム投与群のほうが、ドライアップル投与群よりも低値でした。
以上のデータから、
1日あたり75グラムのドライアップル(=中程度のリンゴ2個に相当)投与は、
脂質代謝を改善し、抗炎症作用を介して、動脈硬化リスクを減少される働きが示唆されます。
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