今月の血液学の専門ジャーナル(電子版)に、オメガ3系脂肪酸(EPA・DHA)による血小板機能への作用を調べた臨床研究が、オーストラリアのグループ(University of Sydney)から報告されていました。
(
Semin Thromb Hemost. 2013 Jan 17)
EPAや
DHAなどのオメガ3系必須脂肪酸は、抗炎症作用・動脈硬化予防作用、認知機能改善作用、抗うつ作用など多彩な働きが示されています。
血小板機能の亢進・凝集は、血栓症や塞栓症を生じ、心臓病(心筋梗塞)や脳卒中(脳梗塞)の原因となりえます。
そこで、今回の研究では、
血小板凝集能を抑制する機能性食品成分として、オメガ3系脂肪酸の臨床的な働きが検証されました。
具体的には、
健常者40名と心血管疾患の既往のある患者16名を対象に、
DHA 520mgとEPA 120mgを含むオメガ3系脂肪酸サプリメントを4週間投与し、
血小板機能が測定されています。
解析の結果、
健常者では、オメガ3系脂肪酸の投与によって、
ADP誘導およびアドレナリン誘導血小板凝集が有意に抑制されました。
(ADP誘導:maximum amplitude, 77.0%±3.2% vs. 71.6%±3.4%, p=0.036; maximum slope, 86.3±1.8 vs. 80.7±2.1, p=0.014)
(アドレナリン誘導:maximum slope, 42.8±2.7 vs. 37.4±3.0, p=0.013; lag time, 00:21±00:02 vs. 00:31±00:03 s, p=0.002)
また、オメガ3系脂肪酸サプリメントの投与によって、
血小板でのPセレクチン発現を有意に減少し、
(40.5±2.9% vs. 34.4%±2.4%, p=0.049)
ADP誘導による血小板単球凝集を抑制しました。
(38.5%±2.6% vs. 31.4%±2.5%, p=0.022)
ただし、これらの変化は、心血管疾患の既往を有する患者群では顕著ではありませんでした。
以上のデータから、
健常者では、1日あたり640mgのオメガ3系脂肪酸投与による血小板機能亢進抑制を介した血栓症・塞栓症の予防効果が示唆されます。
これまでの研究によると、
心血管疾患に対するオメガ3系脂肪酸(DHA・EPA)の投与量は、
一次予防としては数百mgでも効果が示されており、
二次予防としては2〜4g程度が投与されています。
EPAやDHAといったオメガ3系脂肪酸では、抗炎症作用を介した動脈硬化抑制作用による生活習慣病予防効果が知られています。
オメガ3系脂肪酸の抗炎症作用のメカニズムとして、以前は、オメガ6系との比率からアラキドン酸カスケードへの機序が考えられていました。
現在では、これに加えて、EPAとDHAの代謝物自体に抗炎症作用があることがわかっています。
臨床研究におけるオメガ3系脂肪酸の投与量は、1日あたり数百ミリグラムから4グラム程度です。
また、EPA:DHA=2〜3:1の割合です。
日本人の食事摂取基準では、EPAおよびDHAの摂取量を一グラム/日としています。
EPAもDHAも、どちらも健康維持や疾病予防に重要です。
一般に、
DHAは脳の栄養素、
EPAは血管の栄養素といえるでしょう。
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