今月の糖尿病研究の専門ジャーナル(電子版)に、インスリン抵抗性を有する被験者において、オメガ3系脂肪酸による抗炎症作用を示した研究が、米国のグループ(University of Kentucky)から報告されていました。
(
Diabetes. 2013 Jan 17.)
魚油由来のオメガ3系脂肪酸は、抗炎症作用を有し、中性脂肪低下作用を示します。
今回の研究では、脂肪や筋肉組織における炎症マーカーに対する魚油の作用が調べられました。
具体的には、
インスリン抵抗性を有する非糖尿病の被験者を対象に、
1日あたり4グラムのオメガ3系脂肪酸
あるいは
偽薬が12週間投与され、
脂肪組織およびマクロファージでの変化が測定されています。
解析の結果、
血中MCP-1(単球走化活性因子、macrophage chemoattractant protein 1)値は、
魚油投与によって低下しました。
他のサイトカイン類は変化していません。
(MCP-1はマクロファージの浸潤に関与します。)
魚油投与群では、
脂肪組織において、マクロファージおよびMCP-1の減少が見出されています。
(筋肉組織では変化はしていません。)
また、マクロファージにおける変化が示された被験者は、治療にもよく反応したということです。
脂肪および筋肉中のオメガ3系脂肪酸含有量は、介入後に増加していますが、
インスリン感受性やアディポネクチンは変化していません。
その他、
オメガ3系脂肪酸投与は、MCP-1発現を低下させましたが、TNF-αには変化を生じていません。
脂肪細胞とマクロファージを共培養した際、
オメガ3系脂肪酸の投与は、脂肪細胞でのMCP-1亢進を抑制するという作用も見出されています。
以上のデータから、
インスリン抵抗性を示す状態では、
オメガ3系脂肪酸投与によって、脂肪細胞における炎症関連反応の抑制効果が示唆されます。
肥満やメタボリック症候群では、インスリン抵抗性が生じ、慢性炎症の病態にあります。
そのため、抗炎症作用を有するオメガ3系脂肪酸の投与は、補完療法として有用であると考えられます。
EPAやDHAといったオメガ3系脂肪酸では、抗炎症作用を介した動脈硬化抑制作用による生活習慣病予防効果が知られています。
オメガ3系脂肪酸の抗炎症作用のメカニズムとして、以前は、オメガ6系との比率からアラキドン酸カスケードへの機序が考えられていました。
現在では、これに加えて、EPAとDHAの代謝物自体に抗炎症作用があることがわかっています。
臨床研究におけるオメガ3系脂肪酸の投与量は、1日あたり数百ミリグラムから4グラム程度です。
また、EPA:DHA=2〜3:1の割合です。
日本人の食事摂取基準では、EPAおよびDHAの摂取量を一グラム/日としています。
EPAもDHAも、どちらも健康維持や疾病予防に重要です。
一般に、
DHAは脳の栄養素、
EPAは血管の栄養素といえるでしょう。
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