今月の栄養学の専門ジャーナル(電子版)に、エクストラバージンオリーブオイルによる潰瘍性大腸炎抑制作用を示した基礎研究が、スペインのグループ(University of Seville)から報告されていました。
(
J Nutr Biochem. 2013 Jan 18)
エクストラバージンオリーブは、精製された安価なオリーブオイルに比べて、オリーブ由来ポリフェノール(オレユロペンやヒドロキシチロソールなど)を豊富に含み、それらを介した抗酸化作用や抗炎症作用による機能性が知られています。
さて、今回の研究では、
エクストラバージンオリーブオイル由来ポリフェノールによる潰瘍性大腸炎での炎症に対する作用が調べられました。
具体的には、
6週齢マウスを用いて、
・標準食摂取群、
・エクストラバージンオリーブ投与群、
・標準食+ポリフェノール投与群、
・エクストラバージンオリーブ+ポリフェノール投与群、
の4群に分けて30日間の介入が行われ、
その後、3週間の薬物誘導によって、潰瘍性大腸炎モデルを導入しています。
潰瘍性大腸炎の活動性マーカー(DAI)や病理学的所見が解析された結果、
まず、
標準食投与群+潰瘍性大腸炎誘導群では、
DAIの有意な増加(悪化)、
組織学的な病的所見、
細胞増殖亢進
TNF-α, MCP-1, COX-2, iNOSのタンパク質発現増加、
p38, JNK MAPKsリン酸化亢進
などが見出されました。
一方、
エクストラバージンオリーブ+ポリフェノール投与群では、
疾患活動指標であるDAIの有意な低下(改善)、
細胞増殖の有意な低下(改善、
MCP-1, TNF-α, COX-2, iNOS発現の低下(改善)
が認められたということです。
以上のデータから、
エクストラバージンオリーブに含まれるオリーブポリフェノールによる抗炎症作用を介した炎症性腸疾患リスク低下作用が示唆されます。
分子メカニズムとして、
p38MAPK やNF-κBといった炎症惹起タンパク質の発現抑制が推察されます。
今後、臨床的意義の検証が期待される分野です。
オリーブオイルは、単価不飽和脂肪酸というだけではなく、最近の研究では、
エクストラヴァージン(バージン)オリーブオイルに含まれるファイトケミカル・ポリフェノールによる抗酸化作用の有効性も示されています。
オリーブオイルを多用する地中海食は、心臓病などの生活習慣病の予防効果を示し、抗炎症作用を有する抗炎症ダイエットであることがわかっています。
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