今月の免疫学研究の専門ジャーナルに、炎症性腸疾患に対する緑茶ポリフェノールの抗炎症作用を示した基礎研究が、米国のグループ(University of Kentucky Medical Center)から報告されていました。
(
Front Immunol. 2013 Jun 5;4:132.)
慢性炎症を病態とする炎症性腸疾患(IBD)として、潰瘍性大腸炎やクローン病が知られています。
サプリメントに関する研究では、オメガ3系脂肪酸、ウコン(クルクミン)、ビタミンDといった機能性食品成分による炎症性腸疾患改善作用が示唆されています。
また、食事療法では、マクロビオティックをベースにしたセミベジタリアン食による改善効果が知られています。
さて、今回の研究では、
IBDの補完療法として、緑茶ポリフェノール・EGCG(エピガロカテキンガレート)の働きが調べられました。
IBDの標準治療では、医薬品のサラゾピリン(sulfasalazine)が投与されますが、さまざまな副作用が知られています。
そこで、緑茶ポリフェノール・EGCGの抗炎症作用を介した補完療法/併用療法としての作用が検証されました。
具体的には、
BALB/cマウスを用いて、薬剤(DDS)誘導性潰瘍性大腸炎を生じた群、
また、
IL-10欠損マウスに正常細菌叢を曝露し腸炎を生じたクローン病モデル群
および対照群の3群について、
緑茶ポリフェノール、EGCG、sulfasalazineの投与が行われています。
DDSによる潰瘍性大腸炎モデルマウスでは、血性下痢や腸炎の重症な症状が認められました(score 0-4, 3.2 ± 0.27)。
IL-10欠損マウスでも、重篤な腸炎症状が認められています。
これに対して、
緑茶ポリフェノール、EGCG、sulfasalazineの投与群では、
大腸炎症状の重症化が抑制され、許容性も高いことが示されました。
緑茶ポリフェノール(GrTP)、EGCG、sulfasalazineの投与によって、
大腸障害および組織学的スコアは、いずれも同程度に改善しています。
(GrTP vs. DSS p < 0.05; EGCG, sulfasalazine vs. DSS p < 0.01)
また、大腸炎モデルマウスにおいて、
炎症マーカーは増加(TNFα (3-fold), IL-6 (14-fold))しましたが、
介入によって有意な低下(改善)を認めました。
その他、
肝臓および大腸における抗酸化物質は、
大腸炎モデル動物において有意に減少し、
介入によって、有意に回復しました。
以上のデータから、
緑茶ポリフェノールやEGCGの投与は、
炎症性腸疾患モデルにおいて、
抗酸化作用を亢進(回復)し、
腸炎症状の有意な改善をもたらすことが示唆されます。
今後、臨床的意義の検証が期待される分野です。
炎症性腸疾患とサプリメントに関する研究として、次の報告があります。
クローン病では血中ビタミンDが低値
炎症性腸疾患患者ではビタミンDが低値
ウコン(クルクミン)による炎症性腸疾患の改善作用
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