今月の肝臓病学の専門ジャーナルに、血中ビタミンD値と、B型肝炎でのHBs抗原陰性化との関連を調べた臨床研究が、イスラエルのグループから報告されていました。
(
World J Hepatol. 2013 Jun 27;5(6):328-31)
近年、ビタミンDは、骨の健康維持だけではなく、免疫調節作用や抗がん作用など、多彩な効果が示されています。
さて、今回の研究では、
血中ビタミンD値と、HBs抗原陰性化(spontaneous seroclearance)との関連が調べられました。
具体的には、
2007年から2012年までの間に、イスラエルの肝臓疾患2施設において、
慢性非活動性B型肝炎患者53名を対象にフォローアップが行われ、
HBs抗原陰性化とビタミンD値、その他の血液生化学指標が測定されています。
解析の結果、
HBs抗原陰性化となったこれらの53名のうち、
ビタミンD値は、
44名(83%)において正常範囲であり、
9名(17%)では低値でした。
また、
HBs抗原陰性化との相関がみられた因子は、
35歳以上(95%CI: 1.25-2.8, P = 0.05)、
ビタミンDが20 ng/mL以上(95%CI: 2.4-3.2, P = 0.02)、
HBe抗原陰性化(95%CI: 2.2-3.1, P = 0.02)、
B型肝炎ウイルス陽性年数(8年以上)
でした。
以上のデータから、
HBs抗原陰性化と、ビタミンD値との関連が示唆されます。
今後、介入試験(ビタミンD投与試験)による有効性の検証が期待される分野です。
一般に、
健康保持や疾病予防の目的で利用されるビタミンD3サプリメントの摂取量は、
1日あたり
25マイクログラム(1,000IU)から50マイクログラム(2,000IU)です。
ビタミンDは、免疫調節作用や抗がん作用など、多彩な作用を有する脂溶性ビタミンの1種です。
多くの生活習慣病や慢性疾患、難治性疾患の患者群において、ビタミンD低値が示されており、ビタミンDサプリメントの臨床的意義が注目されています。
日本からの報告では、
ビタミンDサプリメントのインフルエンザ予防効果
が知られています。
また、さまざまな生活習慣病では、血中ビタミンD値が低いことが知られており、健康保持や疾病予防のために、ビタミンDサプリメントの摂取が推奨されます。
(欠乏症の予防ということでは通常の食事からでも補えますが、疾病予防という目的では、1日あたり1,000〜2,000
IUの摂取が必要であり、サプリメントを利用することになります。)
今日では、ビタミンD欠乏症の典型例のような疾患は少ない一方、血中ビタミンDの低値が広く認められることから、生活習慣病の予防やアンチエイジングを目的としたビタミンDサプリメントの利用が推奨されます。
日本人の間でも、ビタミンDの潜在的不足/欠乏が顕著になっています。
たとえば、
日本人妊婦の90%がビタミンD不足、
血中ビタミンD値が高いと大腸腺腫リスクが低い
というデータがあります。
DHCでは、
ビタミンD3サプリメントを製品化しています。
ビタミンDサプリメントに対する効果には個人差がありますが、
臨床的には、ビタミンDサプリメントを1,000IU/日の用量で投与すると、血中25ヒドロキシビタミンD値が10ng/ml増加する、
という報告もあります。
マルチビタミンのビタミンDはRDAのための設定ですので、別途、ビタミンDサプリメントの利用となります。
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