肝臓病学の専門ジャーナル(電子版)に、食事由来のポリフェノール摂取による肝機能への影響を調べた臨床研究が、フランスのグループ(INSERM;仏国立保健医学研究所)から報告されていました。
(
J Hepatol. 2013 Aug 23.)
今回の研究では、
食事由来のポリフェノール摂取と、肝機能との関連が調べられました。
具体的には、
HIV-HCV重複感染患者990名を対象に、
チョコレートとコーヒーの摂取が、肝逸脱酵素(AST、ALT)を低下(改善)するかどうか、検証されています。
(HIV-HCV重複感染者を対象にしたANRS CO13 HEPAVIHという縦断研究の一環です。)
1日あたり3杯以上のコーヒーの摂取および、
毎日のチョコレート摂取
と、
ASTあるいはALTの異常値(正常上限の2.5を超える値)を示す被験者との関連が
縦断研究として解析されています。
交絡因子で補正後、
コーヒーの摂取量が多いこと、および毎日のチョコレート摂取と、
ALTの正常値との間に有意な相関が見出されたということです。
(コーヒー;OR = 0.65; p = 0.04, チョコレート;OR = 0.57; p=0.04,)
また、
コーヒーの摂取と、AST正常値との間にも有意な相関が認められました(p = 0.05)。
(チョコレートの摂取は相関していません。)
コーヒーの摂取とチョコレートの摂取の両方がある場合には、
肝臓逸脱酵素が異常値に上昇するリスクが、40-50%低下していました。
(p = 0.003 for AST; p = 0.002 for ALT)
以上のデータから、
HIV-HCV重複感染患者において、
コーヒーやチョコレート由来のポリフェノールの摂取が多いと、
肝逸脱酵素の上昇(悪化)リスクが抑制されることが示唆されます。
今後、介入試験による臨床的意義の検証が期待される分野です。
これまでの疫学研究によって、コーヒーの摂取による生活習慣病リスクの低下が知られています。
例えば、コーヒーの摂取による2型糖尿病リスク低下、脳卒中リスク低下、うつ病リスク低下、肝がんリスク低下、認知機能の低下抑制などがあります。
コーヒーにはファイトケミカルの1種であるクロロゲン酸が含まれており、抗酸化作用を介した生活習慣病予防効果が示唆されています。
(カフェイン以外のコーヒーの主要な成分として、フェルラ酸(ferulic acid)、カフェ酸(caffeic acid,)、クロロゲン酸(chlorogenic acid)が知られており、いずれも抗酸化作用を示します。これらの中ではクロロゲン酸が比較的多く存在します。)
ココアやチョコレートには、カカオポリフェノールが含まれており、ポリフェノールの抗酸化作用を介した機能性が注目されています。
これまでの疫学研究や臨床試験では、高血圧症の改善、心血管疾患(動脈硬化性疾患)リスクの低減、抗がん作用などが報告されています。
例えば、次のような研究が知られています。
チョコレートの摂取と脳卒中リスクの低下:前向き研究とメタ解析
ダークチョコレートによる血管内皮機能改善作用
小児の血圧とダークチョコレート
ココアによる抗炎症作用@肥満症
健康増進・疾病予防という目的では、カカオの含有量が多いダークチョコレートの摂取がポイントです。
また、ココアパウダーを用いたココア飲料では、糖分の過剰摂取に注意が必要です。
チョコレートポリフェノール/フラボノイドによる高血圧改善効果は、メタ解析でも示されています。
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