台風26号で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
今月の臨床栄養学の専門ジャーナル(電子版)に、抗生物質の投与時における補完療法としてのビタミンDサプリメントの作用を調べた臨床研究が、オーストラリアのグループ(Queensland University of Technology)から報告されていました。
(
Am J Clin Nutr. 2013 Oct 9.)
ビタミンDは、免疫調節作用を有しており、感染症リスクを低下させることが示唆されています。
例えば、日本からの報告では、
ビタミンDサプリメントのインフルエンザ予防効果
が知られています。
また、さまざまな生活習慣病では、血中ビタミンD値が低いことが知られており、健康保持や疾病予防のために、ビタミンDサプリメントの摂取が推奨されます。
さて、今回の研究では、
抗生物質利用時におけるビタミンDサプリメントの働きが調べられました。
具体的には、
2010年10月から2012年2月の間に、
ランダム化比較試験として、
60歳から84歳の
オーストラリア居住者644名を対象に、
・偽薬投与群(n = 214)、
・ビタミンD3サプリメント(1ヶ月あたり30,000 IU) (n = 215)、
・ビタミンD3サプリメント(1ヶ月あたり60,000 IU) (n = 215)
の3群に分けて12ヶ月までの介入が行われました。
抗生物質の投与は、ビタミンD3サプリメント介入期間中、健康保険の薬剤履歴によって確認されています。
解析の結果、
偽薬投与群に比べて、
ビタミンD3サプリメント(60,000 IU)投与群では、
抗生物質投与を必要とする感染リスクが1回以上、少ない傾向(28%リスク低下傾向)が認められたということです。
(RR: 0.72; 95% CI: 0.48, 1.07)
年齢別の解析では、
70歳以上の群において、
高用量ビタミンD投与群は、
偽薬投与群に比べて、
抗生物質利用の有意な減少(47%の減少)が認められました。
(RR: 0.53; 95% CI: 0.32, 0.90)
70歳未満では、有意差は示されていません。
(RR: 1.07; 95% CI: 0.58, 1.97)
以上のデータから、
高齢者へのビタミンD3(1ヶ月あたり60,000 IU)サプリメントの投与による
感染症リスク低下作用・抗生物質利用の減少作用が示唆されます。
一般に、
健康保持や疾病予防の目的で利用されるビタミンD3サプリメントの摂取量は、
1日あたり
25マイクログラム(1,000IU)から50マイクログラム(2,000IU)です。
ビタミンDは、免疫調節作用や抗がん作用など、多彩な作用を有する脂溶性ビタミンの1種です。
多くの生活習慣病や慢性疾患、難治性疾患の患者群において、ビタミンD低値が示されており、ビタミンDサプリメントの臨床的意義が注目されています。
日本からの報告では、
ビタミンDサプリメントのインフルエンザ予防効果
が知られています。
また、さまざまな生活習慣病では、血中ビタミンD値が低いことが知られており、健康保持や疾病予防のために、ビタミンDサプリメントの摂取が推奨されます。
(欠乏症の予防ということでは通常の食事からでも補えますが、疾病予防という目的では、1日あたり1,000〜2,000
IUの摂取が必要であり、サプリメントを利用することになります。)
今日では、ビタミンD欠乏症の典型例のような疾患は少ない一方、血中ビタミンDの低値が広く認められることから、生活習慣病の予防やアンチエイジングを目的としたビタミンDサプリメントの利用が推奨されます。
日本人の間でも、ビタミンDの潜在的不足/欠乏が顕著になっています。
たとえば、
日本人妊婦の90%がビタミンD不足、
血中ビタミンD値が高いと大腸腺腫リスクが低い
というデータがあります。
DHCでは、
ビタミンD3サプリメントを製品化しています。
ビタミンDサプリメントに対する効果には個人差がありますが、
臨床的には、ビタミンDサプリメントを1,000IU/日の用量で投与すると、血中25ヒドロキシビタミンD値が10ng/ml増加する、
という報告もあります。
マルチビタミンのビタミンDはRDAのための設定ですので、別途、ビタミンDサプリメントの利用となります。
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