栄養学の専門ジャーナル(電子版)に、植物ステロールによる高コレステロール血症改善効果を示した臨床研究が報告されていました。
(
J Acad Nutr Diet. 2013 Nov 26.)
植物ステロールとは、植物に含まれるステロール類の総称であり、カンペステロールやシトステロールなどのステロール類から構成されます。
化学構造上、植物ステロールは、動物に含まれるコレステロールに類似しており、胆汁酸ミセルにおいてコレステロールと競合することで、コレステロール低下作用を示します。
さて、今回の研究では、
高コレステロール血症に対する植物ステロールサプリメントの効果が調べられました。
(同グループによる先行研究では、
1日あたり1.8グラムの植物ステロール/スタノールサプリメントを、
食事療法(NCEP)に併用することで、
高コレステロール血症患者(LDLが130mg/dL以上、220mg/dL未満)の改善が示されています。)
今回は、
ランダム化二重盲検偽薬対照クロスオーバー法として、
高脂血症患者30名(男性8名、女性22名)を対象に、
1.8グラムの植物ステロール/スタノールあるいは偽薬が投与されました。
試験開始時の被験者の脂質関連指標は、
総コレステロール値;236.6±4.2 mg/dL (6.11±0.11 mmol/L)、
HDLコレステロール値; 56.8±3.0 mg/dL (1.47±0.08 mmol/L)、
LDL コレステロール値;151.6±3.3 mg/dL (3.92±0.09 mmol/L)、
非HDLコレステロール値;179.7±4.6 mg/dL (4.64±0.12 mmol/L)、
TG値;144.5±14.3 mg/dL (1.63±0.16 mmol/L)
でした。
植物ステロール/スタノール投与後、
脂質関連指標は、
偽薬投与群と比べて有意に減少(低下)しました(P<0.01)。
LDLコレステロール値;-4.3%、
非HDLコレステロール値;-4.1%
総コレステロール値;-3.5%
なお、TG値とHDL値に有意な変化は見出されていません。
以上のデータから、
1日あたり1.8グラムの植物ステロールサプリメントによる脂質代謝改善作用が示唆されます。
先行研究では、
植物ステロールによる超悪玉コレステロール低下作用
植物ステロールによるLDLコレステロール低下作用:レビュー
という報告もあります。
脂質異常症・高脂血症対策のサプリメントの定番は、
紅麹です。
最近では、スタチン不耐症の脂質異常症患者に対して、紅麹投与による脂質代謝改善作用を示したランダム化比較試験も示されました。
紅麹に関するエビデンスでは、
・スタチン不耐症に対する紅麹投与による脂質異常症の改善効果
・心血管イベント発生の抑制効果
が知られています。
(なお、スタチンおよび紅麹のいずれも、
コエンザイムQ10との併用が必要と考えます。)
コエンザイムQ10には、酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)と還元型(=ユビキノール,ubiquinol)があります。
還元型CoQ10のほうが、酸化型CoQ10よりも体内で利用されやすいと考えられます。
(酸化型CoQ10は、体内に吸収された後、いったん還元されてから、利用されます。)
コエンザイムQ10に関するこれまでの研究の多くは、酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)を用いています。
したがって、一般的には、生活習慣病の予防やアンチエイジング目的に関して、
酸化型CoQ10のユビキノンの摂取で十分な効果が期待できます。
一方、特定の疾患に対して用いる場合、あるいは、体内の生理機能が低下している高齢者の場合には、
還元型CoQ10の利用が推奨されます。
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