泌尿器科学の専門ジャーナルに、ノコギリヤシ投与による慢性細菌性前立腺炎に対する作用を調べた臨床研究が、イタリアのグループから報告されていました。
(
Arch Ital Urol Androl. 2013 Dec 31;85(4):190-6)
慢性前立腺炎は、局所の疼痛などさまざまな症状を伴います。
今回の研究では、
慢性前立腺炎の症状に対するノコギリヤシエキスの作用が検証されました。
具体的には、
56名の患者を対象に、
・抗菌薬(600mgのプルリフロキサシン, prulifloxacin)を15日間投与した群(n=28)、
・抗菌薬(600mgのプルリフロキサシン, prulifloxacin) 15日間投与+ノコギリヤシ8週間投与の併用投与群(n=28)、
の2群について介入が行われています。
解析の結果、
抗菌作用は両群とも同程度の効果でしたが、
疼痛の改善は、抗菌剤単独群よりも抗菌薬とノコギリヤシの併用投与群において有意な改善が見出されました。
また、
性的な機能障害の改善作用や排尿障害に対する改善作用についても、
ノコギリヤシの併用投与群において有意な改善が認められたということです。
以上のデータから、
慢性細菌性前立腺炎に伴う症状に対して、
補完療法としてのノコギリヤシ投与の効果が示唆されます。
男性では、加齢に伴って前立腺肥大症(BPH)による排尿障害などの症状が生じます。
良性疾患である前立腺肥大症に対して、サプリメントでは、
ノコギリヤシ(学名serenoa repens)が用いられています。
(ノコギリヤシは,多くの臨床試験によって有効性が示されており,安全性の高いハーブです。医薬品と比べても副作用が少なく,広く推奨できるサプリメント成分です。)
また、前立腺肥大症(BPH)は、勃起障害(ED)の原因ともなりますし、
BPHの治療に用いられるαブロッカーや5-α-還元酵素阻害薬といった薬の副作用として、EDが生じるリスクもあります。
一方、ハーブサプリメントでは、ノコギリヤシが、軽症から中等度のBPHの症状改善に有用であることが、これまでに多くの臨床研究によって示されています。
DHCでの関連製品としては、
ノコギリヤシ、
マカ、
トンカットアリ、
複合サプリメント
などがあります。
ノコギリヤシに関しての臨床試験や基礎研究では、次のような報告があります。
男性型脱毛症(AGA)に対するノコギリヤシの効果
ノコギリヤシの安全性を示した臨床試験
・ノコギリヤシによる前立腺肥大症と勃起障害の症状改善作用
・前立腺の健康維持にはノコギリヤシ+リコピン+セレン
・ノコギリヤシによる細胞増殖抑制作用
・ノコギリヤシによるBPH症状改善作用
・ノコギリヤシの前立腺肥大症改善作用
・前立腺切除術前のノコギリヤシ投与の効果
・ノコギリヤシ複合サプリによる慢性前立腺炎改善効果
・ノコギリヤシ・カボチャ種子による前立腺肥大症
・前立腺切除術の出血にノコギリヤシは影響しない
・ノコギリヤシでは医薬品との相互作用報告はなし
・男性型脱毛症とノコギリヤシ
・ノコギリヤシの安全性に関する系統的レビュー
・前立腺炎に対する補完療法としてのノコギリヤシ
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