今月の生薬学の専門ジャーナルに、ノコギリヤシによる前立腺組織への作用を調べた基礎研究が、オーストラリアのグループ(Monash University)から報告されていました。
(
J Ethnopharmacol. 2014 Mar 14;152(2):283-91)
男性では、加齢に伴って前立腺肥大症(BPH)による排尿障害などの症状が生じます。
良性疾患である前立腺肥大症に対して、サプリメントでは、
ノコギリヤシ(学名serenoa repens)が用いられています。
さて、今回の研究では、
ノコギリヤシの前立腺肥大症に対する作用メカニズム解析を目的として、
ノコギリヤシの脂質成分による前立腺への働きが調べられました。
具体的には、
ラットの前立腺を用いて、
ノコギリヤシの有効成分を含む脂質成分の粗抽出物とクロマトグラフィーでの分画を投与し、
薬理作用が検証されています。
解析の結果、
ノコギリヤシ抽出物投与によって、
ラット前立腺における平滑筋収縮活性の抑制により、
前立腺収縮の阻害作用が認められたということです。
粗抽出物と同様の収縮抑制効果を示したのは、
酢酸エチル分画であり、
ノコギリヤシエキス由来脂質成分が、非特異的メカニズムを介して、
前立腺平滑筋に対する薬理学的作用(収縮阻害作用)を示す成分と考えられました。
以上のデータから、
ノコギリヤシによる前立腺肥大症の症状改善作用のメカニズムの一つとして、
ノコギリヤシ抽出物由来脂質成分による前立腺平滑筋の収縮抑制作用が示唆されます。
男性では、加齢に伴って前立腺肥大症(BPH)による排尿障害などの症状が生じます。
良性疾患である前立腺肥大症に対して、サプリメントでは、
ノコギリヤシ(学名serenoa repens)が用いられています。
(ノコギリヤシは、多くの臨床試験によって有効性が示されており、安全性の高いハーブです。
医薬品と比べても副作用が少なく、広く推奨できるサプリメント成分です。)
前立腺肥大症(BPH)は、勃起障害(ED)の原因ともなりますし、
BPHの治療に用いられるαブロッカーや5-α-還元酵素阻害薬といった薬の副作用として、EDが生じるリスクもあります。
一方、ハーブサプリメントでは、ノコギリヤシが、軽症から中等度のBPHの症状改善に有用であることが、これまでに多くの臨床研究によって示されています。
DHCでの関連製品としては、
ノコギリヤシ、
マカ、
トンカットアリ、
複合サプリメント
などがあります。
ノコギリヤシに関しての臨床試験や基礎研究では、次のような報告があります。
男性型脱毛症(AGA)に対するノコギリヤシの効果
ノコギリヤシの安全性を示した臨床試験
・ノコギリヤシによる前立腺肥大症と勃起障害の症状改善作用
・前立腺の健康維持にはノコギリヤシ+リコピン+セレン
・ノコギリヤシによる細胞増殖抑制作用
・ノコギリヤシによるBPH症状改善作用
・ノコギリヤシの前立腺肥大症改善作用
・前立腺切除術前のノコギリヤシ投与の効果
・ノコギリヤシ複合サプリによる慢性前立腺炎改善効果
・ノコギリヤシ・カボチャ種子による前立腺肥大症
・前立腺切除術の出血にノコギリヤシは影響しない
・ノコギリヤシでは医薬品との相互作用報告はなし
・男性型脱毛症とノコギリヤシ
・ノコギリヤシの安全性に関する系統的レビュー
・前立腺炎に対する補完療法としてのノコギリヤシ
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