今月の栄養学の専門ジャーナルに、L-カルニチンによる心臓病患者での抗酸化作用を示した臨床研究が報告されていました。
(
Nutr J. 2014 Aug 4;13(1):79.)
カルニチンは、アミノ酸誘導体で、食肉(ラム肉)や乳製品に豊富に存在します。
カルニチン(L-カルニチン)は、脂肪の代謝に必要な機能性成分です。
(長鎖脂肪酸は、L-カルニチンと結合することでミトコンドリアに入ります。)
L-カルニチンに関する研究では、中性脂肪やVLDLコレステロールの低下作用、肝臓での脂肪蓄積の抑制、運動能向上作用、肥満での減量など、多彩な働きが示されています。
例えば、
カルニチンによる運動耐用能の亢進@アスリート
という研究も知られています。
また、特定の病態において、治療と併用されることもあります。
例えば、腎疾患患者の血球減少症に対する効果、糖尿病患者での代謝の改善、慢性疲労症候群患者の症状改善、C型肝炎のインターフェロン療法の補助療法などが報告されています。
特に、腎不全によって慢性維持透析を受けている病態では、カルニチン欠乏による障害が知られており、L-カルニチンの摂取が推奨されます。
心臓病・心血管疾患では、酸化ストレス障害が高く、動脈硬化が進展しやすい病態が考えられます。
そこで、今回の研究では、
心臓病患者におけるL-カルニチン投与時の酸化ストレス状態および抗酸化酵素活性への影響が調べられました。
具体的には、
心臓カテーテル検査にて主要冠状動脈に50%以上の狭窄を認めた心血管疾患患者47名を対象に
1日あたり1,000mgのL-カルニチンを投与した群(n = 23)
あるいは
偽薬投与群(n = 24)
の2群について、
12週間の介入が行われました。
血中MDAや抗酸化関連酵素が介入の前後で測定されました。
39名が試験を完了しました。
(偽薬19名、L-カルニチン20名)
解析の結果、
12週間のL-カルニチン投与によって、
過酸化脂質の指標であるMDAの有意な減少(改善)、
(2.0 ± 0.3 to 1.8 ± 0.3 mumol/L, P = 0.02)
抗酸化酵素活性の有意な亢進(改善)が認められたということです。
[CAT (12.7 ± 5.5 to 13.1 ± 5.8 U/mg of protein, P = 0.02), SOD (14.8 ± 2.9 to 20.7 ± 5.8 U/mg of protein, P < 0.01), GPx (20.3 ± 3.4 to 23.0 ± 3.1 U/mg of protein, P = 0.01)]
また、血中L-カルニチン値も上昇しています。
(33.6 ± 13.6 to 40.0 ± 12.0 mumol/L, P = 0.04)
このとき、
L-カルニチン値の変化は、抗酸化酵素活性の変化と相関していました。
(CAT, beta = 0.87, P = 0.02; SOD, beta = 0.72, P < 0.01)
以上のデータから、
狭心症を有する心臓病患者において、
1日あたり1,000mgのL-カルニチンの投与による抗酸化作用が示唆されます。
今後、臨床的意義の検証が期待できる分野です。
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