今月の性機能医学の専門ジャーナル(電子版)に、ビタミンDの値と勃起障害(ED)との関連を調べた臨床研究が、イタリアのグループ(University of Milan)から報告されていました。
(
J Sex Med. 2014 Aug 5.)
勃起障害(ED)は、血管内皮機能障害も一因となります。
ビタミンDの不足は、さまざまな生活習慣病リスクを高めることが知られており、血管内皮機能にも関与します。
そこで、今回の研究では、
ED患者におけるビタミンD値が測定されました。
具体的には、
ED患者143名を対象に、
IIEF-5スコアにより診断および重症度分類が行われ、
さらに、病因別に、
血管原性ED、境界型ED、非血管原性EDに分けられました。
(陰茎カラードップラー法にて、プロスタグランジンE1の静注前後で測定)
解析の結果、
血管原性ED患者は50名、
境界型は28名、
非血管原性は65名でした。
平均ビタミンD値は、21.3 ng/mLでした。
ビタミンD不足(<20 ng/mL)の割合は、ED患者の45.9%にも達しており、
正常範囲の被験者は20.2%でした。
解析の結果、
重症のED患者では、
軽症のED患者に比べて、ビタミンD値が有意に低値でした。
(P = 0.02)
ビタミンD値は、
副甲状腺ホルモンと負の相関を示していました。
血管原性ED患者では、
非血管原性患者よりも
ビタミンD値が有意に低値になっており、
また、ドップラー法(Penile-echo-color-Doppler)でも
血管原性EDでは、ビタミンD低値が多いこと、
および
PSV値の低下が示されています。
以上のデータから、
ED患者全般においてビタミンD不足が認められ、
血管原性ED患者ではビタミンD不足が特に顕著であり、
血管内皮機能障害との関連が示唆されます。
今後、ビタミンDサプリメントの介入試験による改善効果の検証が期待される分野です。
近年、ビタミンDは、骨の健康維持だけではなく、免疫調節作用や抗がん作用など、多彩な効果が示されています。
一般に、
健康保持や疾病予防の目的で利用されるビタミンD3サプリメントの摂取量は、
1日あたり
25マイクログラム(1,000IU)から50マイクログラム(2,000IU)です。
ビタミンDは、免疫調節作用や抗がん作用など、多彩な作用を有する脂溶性ビタミンの1種です。
多くの生活習慣病や慢性疾患、難治性疾患の患者群において、ビタミンD低値が示されており、ビタミンDサプリメントの臨床的意義が注目されています。
日本からの報告では、
ビタミンDサプリメントのインフルエンザ予防効果
が知られています。
また、さまざまな生活習慣病では、血中ビタミンD値が低いことが知られており、健康保持や疾病予防のために、ビタミンDサプリメントの摂取が推奨されます。
(欠乏症の予防ということでは通常の食事からでも補えますが、疾病予防という目的では、1日あたり1,000〜2,000
IUの摂取が必要であり、サプリメントを利用することになります。)
今日では、ビタミンD欠乏症の典型例のような疾患は少ない一方、血中ビタミンDの低値が広く認められることから、生活習慣病の予防やアンチエイジングを目的としたビタミンDサプリメントの利用が推奨されます。
日本人の間でも、ビタミンDの潜在的不足/欠乏が顕著になっています。
たとえば、
日本人妊婦の90%がビタミンD不足、
血中ビタミンD値が高いと大腸腺腫リスクが低い
というデータがあります。
DHCでは、
ビタミンD3サプリメントを製品化しています。
ビタミンDサプリメントに対する効果には個人差がありますが、
臨床的には、ビタミンDサプリメントを1,000 IU/日の用量で投与すると、血中25ヒドロキシビタミンD値が10ng/mL増加する、
という報告もあります。
マルチビタミンのビタミンDはRDAのための設定ですので、別途、ビタミンDサプリメントの利用となります。
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