今月の内科学専門ジャーナルに、カカオによる高血圧改善作用を示した総説が掲載されていました。
(Arch Intern Med. 2007;167:626-634.)
これまでの疫学研究によって、ポリフェノールの多いカカオ(ココアやチョコレート)あるいは緑茶の摂取が多いと、高血圧を改善することが示唆されています。
そこで、今回、ドイツのケルン大学のグループが、ランダム化比較試験によってカカオの高血圧改善作用を検討した論文を集めて解析を行いました(メタ分析というタイプの研究方法です)。
対象となったランダム化比較試験の条件は、被験者10名以上、投与期間7日間以上などです。
カカオを投与した研究として、5個の臨床試験が検出され、合計173名のデータが解析されました。
カカオ(ココアあるいはチョコレートなどのカカオ豆含有製品)の平均投与期間は2週間です。
その結果、非投与群に比べて、カカオ投与群では、収縮期血圧は4.7mmHg低下(P=0.002)、拡張期血圧は2.8mmHg低下(P =0.006)したということです。
このメタ分析からは、カカオの摂取が高血圧を改善するといえるでしょう。
(血圧の低下幅はあまり大きくないように感じられるかもしれませんが、心臓病や脳卒中といった高血圧に関連する疾患のリスクを有意に減少させるには十分ですので、臨床的な意義はあります。)
ただし、高血圧改善のために積極的にカカオを摂取しましょう、ということにはならないと思います。
一般に、カカオ製品は、甘味料が添加されており、高エネルギー食です。
そのため、チョコレートやココアといった製品を多量に摂取するのは好ましくないと考えられます。
(なお、南米の伝統的な摂取方法に従ってカカオ豆を摂取するのであれば、問題は少ないかもしれません)
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