抗インフルエンザウイルス剤(リン酸オセルタミビル)の効果は、発症初期に投与することで罹病期間を1日短縮するというものです。
用法および用量は、
1. 治療に用いる場合
通常、成人及び体重37.5kg以上の小児にはオセルタミビルとして1回75mgを1日2回、5日間経口投与する。
2. 予防に用いる場合
通常、成人及び13歳以上の小児にはオセルタミビルとして1回75mgを1日1回、7〜10日間経口投与する。
となっています(添付文書参照)。
治療に用いる場合の注意点として、
治療に用いる場合には、インフルエンザ様症状の発現から2日以内に投与を開始すること
(症状発現から48時間経過後に投与を開始した患者における有効性を裏付けるデータは得られていない)。
とあります。
添付文書には、日本人を対象にしたランダム化比較試験のデータが記載されています。
それによると、各群5日間の投与によるインフルエンザ罹病期間は、
リン酸オセルタミビル投与群122例)では70.0時間、
偽薬群(130例)では93.3時間
でした。
臨床試験データからは有効性はありそうですが、特効薬というほどではなさそうです。
また、24時間(1日)の罹病期間短縮効果については、臨床的意義やリスクベネフィット(危険性と便益)の考慮といった判断が利用者に求められると思います。
ところで、サプリメントでは、風邪症候群やインフルエンザに利用されるものとして、エキナセアがあります。
エキナセアの臨床試験データをみると、オセルタミビルと同等の効果(罹病期間を1日程度短縮する効果)が期待でき、かつ副作用が少ない(エキナセアでは重篤な有害事象は知られていません)と思われます。
エキナセアも、症状発現の初期に摂取を開始することがポイントです。
(臨床試験における摂取期間は、1週間程度が一般的。)
費用対効果およびリスクベネフィットといった視点からは、オセルタミビルよりもエキナセアのほうが好ましいと思います。
(現時点での科学的根拠を俯瞰した上での私見です。)
もちろん、ハーブや処方箋薬を使わずに安静にして経過を見るという選択肢もあります。
(ただし、基礎疾患がある場合や合併症の所見が現れる場合には、早急かつ適切な処置が必要になることもありえます。)
|