今月の科学誌プロスワンに、コエンザイムQ10+セレンサプリメント投与による抗炎症作用を示した臨床研究が、スウェーデンのグループ(Linköping University)から報告されていました。
(
PLoS One. 2015 Sep 16;10(9):e0137680.)
コエンザイムQ10は、ATP産生作用や抗酸化作用を介して、さまざまな生活習慣病に効果が示されています。
健康な人や未病の状態では、1日あたり90mg〜110mg程度をベーシックサプリメントとして毎日摂取します。
一方、何らかの疾患があり、補完療法として用いる場合には、1日あたり100mg〜300mg程度の利用になります。
セレンは、必須ミネラルの1種であり、抗酸化作用を介して機能性を示します。
今回の研究では、
コエンザイムQ10+セレンサプリメントによる抗炎症作用を介した心血管リスクへの影響が検証されました。
具体的には、
70〜88歳の高齢者443名を対象に、
コエンザイムQ10(200mg/日)+セレン(200マイクログラム/日)の介入群221名、
偽薬投与群222名の
48ヶ月間の介入が行われ、
平均(中央値)で5.2年間のフォローアップが行われました。
解析の結果、
まず、
CRP(hsCRP)値に関して、
偽薬群では、
介入前が4.8 ng/mL、
介入後は5.1 ng/mL
でした。
サプリメント投与群でのCRP値は、
介入前4.1 ng/mL、
介入後が2.1 ng/mL
と有意に低下(改善)していました。
また、
SPセレクチン値は、
偽薬群では
介入前が56.6 mg/mL、
介入後が72.3 mg/mL
でした。
一方、
サプリメント投与群では、
介入前の55.9 mg/mLに対して、
介入後では58.0 mg/mL
でした。
コエンザイムQ10+セレンサプリメント投与によって、心血管リスクマーカーであるCRPの低下およびsPセレクチン値の低下(改善)が示されました。
さらに、
サプリメント投与群では、心血管リスク(心血管イベントによる死亡)の有意な減少も見出されたということです。
以上のデータから、
コエンザイムQ10+セレンサプリメント投与による抗炎症作用を介した心血管疾患リスク低下作用が示唆されます。
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