栄養学の専門ジャーナルに、メタボリック症候群患者における糖質制限食の有用性を示したメタ解析が、ドイツのグループ(Charité-University Medical Centre)から報告されていました。
(
Nutrition. 2015 Oct 28.)
肥満、特に内臓脂肪型肥満、メタボリック症候群では、慢性炎症が病態を生じることが知られており、肥満に関連する病態の予防や改善には、抗酸化作用・抗炎症作用を有する機能性食品成分の投与が有用です。
今回のメタ解析では、
メタボリック症候群の患者において、
異なる食事療法による炎症マーカーへの影響、および、減量や糖代謝への作用が検証されました。
具体的には、
主要医学データベースを用いて、
(Medline/PubMed, Scopus, and the Cochrane Library)
2014年9月までに報告されたランダム化比較試験から、
メタボリック症候群患者における免疫系および体重、空腹時インスリン値を調べた研究が抽出されています。
13報のランダム化比較試験、
2,017名の被験者が対象となりました。
解析の結果、
低脂肪食(エネルギー比で脂肪が(29 ± 2%)では、
対照群に比べて、
CRPの有意な低下が認められました。
(SMD: -0.98; 95% CI: -1.6 to -0.35; P = 0.002)
次に、
糖質制限食・低炭水化物食(エネルギー比で23 ± 10%が糖質・炭水化物)では、
対照群に比べて、
有意な減量効果が見出されました。
(SMD: -0.33; 95% CI: -0.63 to -0.03; P = 0.004)
さらに、
糖質制限食では、空腹時インスリン値の有意な低下も認められました。
(SMD: -0.33; 95% CI: -0.63 to -0.03; P = 0.03).
以上のデータから、
メタボリック症候群患者において、
糖質制限食・炭水化物食による減量効果および糖代謝改善効果が示唆されます。
これまでのエビデンスを俯瞰するとき、
地中海食をベースとした緩やかな糖質制限食で、野菜など植物性食品を多く摂取し、ポリフェノール/ファイトケミカルの豊富な食事が健康長寿に有用であると考えられます。
DHCでは、
肥満・糖尿病・アンチエイジング・ヘルシーエイジング(健康長寿)のための食事として、
「‘ゆるやか’糖質制限」(緩やかな糖質制限食・低炭水化物食)を推奨しています。
最新の科学的根拠を俯瞰すると、
「緩やかな糖質制限食・低炭水化物食」を基本とした食生活が、
「ヘルシーエイジング(健康長寿)」
「ダイエット(適正体重の維持)」
「アンチエイジング(抗加齢)」
に有用であると考えられます。
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