サプリ研究の第一人者、蒲原先生の公式ブログです。

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イソフラボンサプリメントと子宮内膜肥厚との関連:メタ解析 [2016年03月13日(日)]
今日は、医学関係の学会の臨時理事会でした。

定款変更などの議案があったので、理事の過半数の出席が必要ということでしたが、クリアできたようです。

さて、本日の私的なお勉強日記です。

今月のがん研究の専門ジャーナル(電子版)に、大豆イソフラボンと、子宮内膜飛行との関連を検証したメタ解析が報告されていました。
(Oncotarget. 2016 Mar 7)


大豆やレッドクローバー、プエラリア・ミリフィカには、女性ホルモン様作用を有するファイトケミカル(植物エストロゲン)の1種、イソフラボン類が豊富に含まれており、女性特有の病気に対する予防や改善作用などの機能性が知られています。

また、抗酸化作用や抗炎症作用を介した機能性から、生活習慣病のリスク低下作用や抗がん作用も注目されています。


一般に、食品に存在するグリコシド型(配糖体型)イソフラボンであれば、安全性の問題はありません。

しかし、エストロゲン様作用を有するイソフラボンを大量に長期に摂取することに懸念を示す意見もあります。

(例えば、子宮内膜がん/子宮体がんのリスクとの関連などです。)



そこで、
今回のメタ解析では、閉経前と閉経後において、イソフラボンによる子宮内膜肥厚への影響が検証されました。


具体的には、
2015年8月までの主要医学データベースから、
(PubMed, Embase, the Cochrane Library, web of science, CINAHL, WHO ICTRP)

23報が抽出され、解析の対象となりました。


解析の結果、

まず、
全体では、イソフラボンサプリメントの経口摂取と、子宮内膜肥厚との間に有意な相関は認められませんでした。
(23報, 2167名; SMD:-0.05; 95%CI:-0.23, 0.13; P=0.60)


次に、
層別解析では、

1日あたり54mg以上の用量では、

子宮内膜厚が0.26mm有意に減少していました。
(10報, 984名; SMD:-0.26; 95%CI:-0.45, -0.07; P=0.007).


さらに、

北米での研究では、

イソフラボンサプリメントにより、子宮内膜厚が、0.23mm有意に減少していました。(7報, 726名; SMD:-0.23; 95%CI:-0.44, -0.01; P=0.04)


一方、

アジアでの研究では、
イソフラボンサプリメントにより、子宮内膜厚が、0.23mm有意に増加していました。
(3報, 224名; SMD: 0.23; 95%CI:-0.04, 0.50; P=0.10).



以上のデータから、

イソフラボンサプリメントの子宮内膜厚への作用には人種による差が示唆されます。


今後、長期投与による臨床的意義の検証が期待される分野です。





日本では、
「大豆イソフラボンアグリコンの安全な一日摂取目安量の上限値」

という表現が一人歩きし、

過度に神経質になっていることがあります。



この上限値というのは、10年ほど前の内閣府食品安全委員会の報告に基づいた情報です。


当時、食品安全委員会では、

-- 大豆イソフラボンの安全な一日摂取目安量の上限値:70〜75mg/日

-- 特定保健用食品としての大豆イソフラボンの安全な一日上乗せ摂取量の上限値:30mg/日
(いずれも大豆イソフラボンアグリコン換算値)

と発表しています。


そこで、一部の医療関係者では、
上限値の背景となった個別の研究の情報をよく検証せずに、

極端な場合、
「イソフラボンの摂取により子宮内膜肥厚が生じ、子宮がんのリスクが高まる」
といった誤解も聞きます。



実際の食品中では、アグリコン換算で、

納豆一パックあたり30〜35mg程度は含まれています。
(納豆100gあたり73.5mg)


豆腐には100グラムあたり20.3mgです。


つまり、食品からの摂取量は、簡単に上限値を超えてしまう状態です。




一般に、長期間、アグリコンの形で大量に摂取することに対しては、その安全性と有効性のバランスについて、個別に判断が必要です。


一方、更年期障害に伴う、うつ状態や不眠といった特定の症状を改善する目的で、アグリコンとして、比較的短期間、利用するという選択肢も考えられます。



一般に、
サプリメントの形状では、食品からの摂取量を大きく上回るような量の摂取が可能となります。


しかし、食品安全委員会の数値が独り歩きして、それを疑うことなく信じているような医療従事者は少し情報不足かもしれません。


例えば、短期的には、イソフラボンの高用量投与が不妊治療に有用とする臨床データも知られています。



内閣府食品安全員会が上限値を設定する根拠となった論文の一つは、イタリアからの報告であり、

1日あたり150mgの摂取による子宮内膜肥厚という臨床データでした。


これを受けて、日本では、その半分の75mgが上限値を設定する際の目安になっています。


一方、前述の臨床データを報告したイタリアのグループは、逆転の発想をしています。


150mgで子宮内膜肥厚の作用がみられるなら、

その10倍量を短期間投与することが不妊治療に応用できるのでは、

と考えたようです。


そして、
不妊治療中の女性を対象に、1日あたり1,500mgの大豆イソフラボンあるいは偽薬を投与したところ、妊娠率が有意に改善したと報告しています。
(Fertil Steril. 2004 Dec;82(6):1509-13.)

大豆イソフラボン投与によって、
対照群に比べて、
妊娠率が16.2%から30.0%に有意的に改善したということです。

不妊治療を行う比較的短期間、黄体期における補完療法として、
大豆イソフラボンの高用量投与が選択肢の一つとして示唆されます。




大豆やレッドクローバー、プエラリア・ミリフィカには、女性ホルモン様作用を有するファイトケミカル(植物エストロゲン)の1種、イソフラボン類が豊富に含まれており、女性特有の病気に対する予防や改善作用などの機能性が知られています。

また、抗酸化作用や抗炎症作用を介した機能性から、生活習慣病のリスク低下作用や抗がん作用も注目されています。




DHCでは、大豆イソフラボンプエラリアミリフィカといったサプリメント、レッドクローバーを含む女性向けの複合サプリメントなどを製品化しています。




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