腎臓病学の専門ジャーナルに、慢性維持透析患者において、コエンザイムQ10サプリメントによる抗炎症作用を示した臨床研究が報告されていました。
(
J Nephropathol. 2016 Jan;5(1):38-43.)
コエンザイムQ10は、抗酸化作用やATP産生作用を有する機能性成分で、体内でも産生されます。
しかし、加齢とともに内在性コエンザイムQ10は減少し、生活習慣病や慢性疾患でも低下がみられることから、アンチエイジング分野で広く摂取が推奨されているベーシックサプリメントです。
慢性維持透析患者では、酸化ストレスが亢進しており、様々な合併症が知られています。
今回の研究では、
人工透析患者において、コエンザイムQ10による炎症及び動脈硬化関連指標への影響が検証されました。
具体的には、
一重盲検ランダム化クロスオーバー試験として、
34名の人工透析患者を対象に、
1日あたり100mgのコエンザイムQ10あるいは偽薬のいずれかが3か月間投与されました。
(2週間のwashout)
26名が試験を完了しました。
解析の結果、
コエンザイムQ10投与により、
炎症マーカーである血中CRP値の有意な低下が見出されました。
(P < 0.001) (95% CI = -20.1 to -10.5)
また、
栄養状態の指標となる血中アルブミンの有意な増加も見出されています。
(P = 0.044, 95% CI = 0. 0-0.6)
なお、血中ホモシステイン地には有意な変化は見出されませんでした。
(P = 0.630)
以上のデータから、
人工透析患者において、
1日あたり100mgのコエンザイムQ10投与による抗炎症作用が示唆されます。
機能性食品素材・サプリメントでは、抗炎症作用や抗酸化作用を有する成分があり、人工透析患者に対する効果が示唆されています。
(
腎不全・維持透析患者のためのサプリメント)
例えば、疫学研究では、魚油/オメガ3系脂肪酸の摂取が多いと、人工透析患者の生存率が向上する、というデータが知られています。
(Am J Kidney Dis. 2011 Aug;58(2):248-56.)
また、
腎不全患者の新規透析用動静脈グラフト術後経過に対する魚油サプリメントの効果を示したランダム化比較試験も示されています。
その他、次のような報告も知られています。
葉酸サプリメントによる末期腎不全患者の死亡率低下効果
腹膜透析患者におけるビタミンCとEの抗酸化作用
維持透析患者でのビタミンEの抗酸化作用
・慢性血液透析患者に対するビタミンD3サプリメントの有用性
・腎不全患者の透析用動静脈グラフトに対する魚油サプリメントの効果
・ビタミンD高値は腎結石症との相関なし
・還元型コエンザイムQ10による腎機能改善作用
・ビタミンD3+カルシウムサプリメントによる効果@慢性腎臓病患者
・ビタミンD不足の腎臓移植患者ではタンパク尿が認められる
・人工透析患者におけるαリポ酸の効果
・ビタミンDによる慢性腎臓病の死亡率低下作用
・末期腎疾患患者におけるビタミンDサプリメントの効果
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