今月のがん研究の専門ジャーナル(電子版)に、コーヒーの摂取による大腸がんリスク低下作用を示したメタ解析が報告されていました。
(
Oncotarget. 2016 Apr 7.)
これまでの疫学研究によって、コーヒーの摂取による生活習慣病リスクの低下が知られています。
例えば、コーヒーの摂取による2型糖尿病リスク低下、脳卒中リスク低下、うつ病リスク低下、肝がんリスク低下、認知機能の低下抑制などがあります。
今回のメタ解析では、
コーヒーの摂取と、大腸がん(結腸がん、直腸がん)リスクとの関連が検証されました。
具体的には、
主要医学データベース(PubMed, Embase and Web of Science)を用いて、
2015年8月までの前向き研究のデータが検索され、
前向きコホート研究19報から、
2,046,575名の被験者と22,629名の大腸がん患者が対象となりました。
解析の結果、
1日あたり4杯のコーヒー摂取あたり、
結腸がんのリスクが7%、有意に低下したということです。
(RR=0.93, 95%CI, 0.88-0.99; P=0.199)
また、
コーヒー摂取による大腸がんリスク低下作用は、1日あたり5杯まで、用量依存的でした。
なお、
コーヒー摂取と直腸がんリスクとの相関は非線形でした。
(P for nonlinearity = 0.214)
以上のデータから、
コーヒー摂取による大腸がん(結腸がんと直腸がん)のリスク低下作用が示唆されます。
これまでの疫学研究によって、コーヒーの摂取による生活習慣病リスクの低下が知られています。
例えば、コーヒーの摂取による2型糖尿病リスク低下、脳卒中リスク低下、うつ病リスク低下、肝がんリスク低下、認知機能の低下抑制などがあります。
コーヒーにはファイトケミカルの1種であるクロロゲン酸が含まれており、抗酸化作用を介した生活習慣病予防効果が示唆されています。
(カフェイン以外のコーヒーの主要な成分として、フェルラ酸(ferulic acid)、カフェ酸(caffeic acid,)、クロロゲン酸(chlorogenic acid)が知られており、いずれも抗酸化作用を示します。これらの中ではクロロゲン酸が比較的多く存在します。)
これまでの疫学研究や臨床試験では、高血圧症の改善、心血管疾患(動脈硬化性疾患)リスクの低減、抗がん作用などが報告されています。
例えば、次のような研究が知られています。
コーヒー摂取による全死亡率と心血管疾患リスク低下効果:メタ解析
コーヒーの摂取と泌尿器のがんの関係@メタ解析
コーヒーの摂取による前立腺がんリスク低下作用@メタ解析
コーヒーによる肝臓がんリスク低下作用
コーヒーの摂取と前立腺がんリスクとの関連
コーヒーの摂取による口腔咽頭がんリスク低下作用
チョコレートとコーヒーの摂取と肝機能の関係@HIV-HCV重複感染者
コーヒーの摂取が女性のうつ病リスクを抑制
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