臨床免疫学の専門ジャーナル(電子版)に、妊婦のオメガ3系必須脂肪酸の摂取と、子孫(子供)の呼吸器系アレルギー性疾患との関連を調べた研究が、デンマークと米国のグループから報告されていました。
( J Allergy Clin Immunol. 2016 Apr 25.)
EPAやDHAといったオメガ3系脂肪酸では、抗炎症作用を介した動脈硬化抑制作用による生活習慣病予防効果が知られています。
母親のオメガ3系必須脂肪酸の摂取が、胎児への免疫調整への好影響を作用し、抗炎症作用や抗アレルギー作用が示唆されます。
今回の研究では、小児の長期予後に関する検証が行われました。
具体的には、
ランダム化偽薬対照試験として、
母親533名を対象に、
妊娠3期に、
・2.7gのオメガ3系必須脂肪酸投与群
・オリーブオイル(対照)投与群
(⇒著者注記:時々オリーブオイルを対象として用いるRCTがありますが、単価不飽和脂肪酸であるオリーブオイル自体に機能性があることから、実薬群との有意差を検証するには検出力不足となる、という問題点があります。)
・非投与群
の3群について、
小児の喘息およびアレルギー性呼吸系疾患への関連に関して、
1990年から24年間のフォローアップが行われました。
(2:1:1の割合)
小児は、処方箋登録制度によりフォローアップが行われ
主アウトカムは、
喘息およびアレルギー性鼻炎に関連した処方および治療とされました。
さらに、小児は、18歳から19歳の時点で、
質問紙票による調査(74%が参加)、臨床所見の検査(47%が参加)も行われました。
解析の結果、
ITT解析によると、
魚油サプリメント投与群では、対照群よりも、喘息の治療薬の処方が有意に少なかったということです。
(46%低下、HR; 0.54, 95% CI, 0.32-0.90; P = .02)
また、
アレルギー性鼻炎に対する処方箋薬の処方量も、
対照群に比べて、
魚油サプリメント投与群では低下傾向が示唆されました。
(HR, 0.70, 95% CI, 0.47-1.05; P = .09)
18歳から19歳の時の自覚的な質問票では、これらの効果を支持していました。
なお、肺機能検査などの所見では有意差は認められていません。
以上のデータから、
妊娠中のオメガ3系必須脂肪酸サプリメントの摂取により、
小児の呼吸器系アレルギー性疾患リスク低減作用が示唆されます。
EPAや
DHAなどのオメガ3系必須脂肪酸は、抗炎症作用・動脈硬化予防作用、認知機能改善作用、抗うつ作用など多彩な働きが示されています。
EPAやDHAといったオメガ3系脂肪酸では、抗炎症作用を介した動脈硬化抑制作用による生活習慣病予防効果が知られています。
オメガ3系脂肪酸の抗炎症作用のメカニズムとして、以前は、オメガ6系との比率からアラキドン酸カスケードへの機序が考えられていました。
現在では、これに加えて、EPAとDHAの代謝物自体に抗炎症作用があることがわかっています。
臨床研究におけるオメガ3系脂肪酸の投与量は、1日あたり数百ミリグラムから4グラム程度です。
また、EPA:DHA=2〜3:1の割合です。
日本人の食事摂取基準では、EPAおよびDHAの摂取量を一グラム/日としています。
EPAもDHAも、どちらも健康維持や疾病予防に重要です。
一般に、
DHAは脳の栄養素、
EPAは血管の栄養素といえるでしょう。
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