今月の神経学の専門ジャーナルに、魚油サプリメントにより、多発性硬化症における酸化還元状態の改善作用を示した臨床研究が、メキシコのグループ(IMSS)から報告されていました。
(
Am J Neurodegener Dis. 2016 Jun 1;5(2):145-51.)
多発性硬化症(MS; multiple sclerosis)は、免疫系の関与する神経変性疾患の1種であり、
脳における神経変性に炎症が関与することが示唆されています。
サプリメントに関しては、次の報告があります。
多発性硬化症に対する抗酸化サプリメントの有用性:系統的レビュー
多発性硬化症に対する機能性成分サプリメントによる抗炎症作用
多発性硬化症では、
グルタチオンホメオスターシスに関与する酵素系での異常も示唆されています。
今回の研究では、
多発性硬化症において、
魚油サプリメント投与による、
グルタチオン代謝に関与する酸化還元酵素への作用が検証されました。
(EPAやDHAといった魚油に含まれるオメガ3系必須脂肪酸は、それ自体およびその代謝物が抗炎症作用や抗酸化作用、神経保護作用を有しています。)
具体的には、
再発寛解型 (relapsing-remitting) MS(急性増悪と寛解を繰り返す病型)患者50名を対象に、
1日あたり4グラムの魚油サプリメントが12ヶ月間投与され、
グルタチオン還元酵素(GR)活性、
還元型および酸化型グルタチオンの構成、
GSH/GSSG比が調べられています。
解析の結果、
魚油サプリメント投与により、
オメガ3系脂肪酸の有意な増加、
オメガ6系脂肪酸の有意な減少が見出されました。
また、
魚油サプリメント投与によって、
グルタチオン還元酵素の活性は、偽薬群に比べて、増加傾向が認められたということです。
(ただし、両群間での有意差なし)
なお、その他のグルタチオン代謝指標には変化は認められていません。
以上のデータから、
多発性硬化症において、
オメガ3系必須脂肪酸(4グラム/日)による酸化還元状態の改善作用が示唆されます。
今後、補完療法としての臨床的意義の検証が期待される分野です。
多発性硬化症(MS)に関連した機能性食品の研究報告として、下記のデータが知られています。
コエンザイムQ10による多発性硬化症での抗疲労効果
多発性硬化症の症状とビタミンDとの関連
コエンザイムQ10による抗炎症作用@多発性硬化症患者
コエンザイムQ10には、酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)と還元型(=ユビキノール,ubiquinol)があります。
還元型CoQ10のほうが、酸化型CoQ10よりも体内で利用されやすいと考えられます。
(酸化型CoQ10は、体内に吸収された後、いったん還元されてから、利用されます。)
コエンザイムQ10に関するこれまでの研究の多くは、酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)を用いています。
したがって、一般的には、生活習慣病の予防やアンチエイジング目的に関して、
酸化型CoQ10のユビキノンの摂取で十分な効果が期待できます。
一方、特定の疾患に対して用いる場合、あるいは、体内の生理機能が低下している高齢者の場合には、
還元型CoQ10の利用が推奨されます。
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